最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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心強い応援とフォーム転向の決意

アメリカ代表との試合は明日となった。私自身の調子は良く、試合でもベストピッチが出来そうなんだけど……。

 

(問題は他の人達はどう思っているか……だね)

 

私自身はスタミナ管理に気を付ければ多分なんとかなる。でも私はクローザー……早くても5回からの起用になる。他の投手陣を信用していない訳じゃないけど、キューバ代表との試合では十六夜さん、一色さん、渡辺さんの3人で4イニングを回して10失点だった……。

 

アメリカ代表の打線はそんなキューバ代表よりも大きく上回る。私もアメリカ代表を相手に通用するか不安になってくるんだよね……。

 

「あっ、いたいた!朱里ちゃーん!」

 

声のする方向を振り返ると武田さん、山崎さん、芳乃さん、息吹さんの4人がいた。

 

「皆……。応援に来てくれたんだ」

 

「もちろん!だって朱里ちゃん達の晴れ舞台だよ?」

 

「テレビでも朱里の活躍は見てたわよ。相手打者を連続三振に抑えるなんて流石ね」

 

「ありがとう……」

 

褒められるとむず痒いな……。

 

「そういえば4人は誰と一緒に来たの?藤井先生?」

 

流石に高校生だけで海外は不安だと思う。親御さんの許可が得られるだろうか……?

 

「今は別行動だけど、私達の引率にはNって名乗っている人が着いて来てくれたんだ。先生の知り合いらしいよ」

 

「ああ、あの人か……」

 

「朱里ちゃんも知ってるの?」

 

「知り合いの姉だよ」

 

Nさんはプロゲーマーで、雷轟が彼女の大ファンらしい。いつか話してみたいとも言ってたけど、その夢は叶ったのかな……?

 

(そうだ……。折角だから、山崎さんとバッテリー練をお願いしようかな)

 

「山崎さん、良かったら私の球を受けてほしいんだけど……」

 

「えっ?なんで……?」

 

「アメリカ代表との試合に備えて……っていうのもあるけど、今後の事もちょっと相談したいしね」

 

「成程……。うん、私も朱里ちゃんの球を捕りたかったし、断る理由がないよ」

 

「ありがとう。じゃあ捕手用ミットを借りてくるね」

 

「あっ、自分のがあるから、大丈夫だよ」

 

私から頼んでおいてなんだけど、なんで持ってきてるの?誰かのホームランボールでも捕るつもりだったの?それとも武田さんとバッテリー練でもするつもりだったの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

(凄い……。テレビで見てなんとなくわかっていたけど、朱里ちゃんの球が前に受けた時とは全然違う。ストレートのノビも、変化球のキレも格段に上がってる……!)

 

「ナイスボール!」

 

うーむ。山崎さんもやっぱり投げやすいんだよね。二宮とはまた違った安心感がある。高校生になってからずっと受けてもらってるからなのかな?

 

「じゃあ次で一旦最後にするよ!終わったら休憩ね!」

 

「うん」

 

次の1球は力を込めて……っと、そうだ。

 

「……今から投げる球は私が右肩を壊した小6の頃からずっと試行錯誤してきた球。アメリカ代表を倒して世界一になる為にって最初は思ってた。でも今は私が早川茜の娘だという事と同時に、私は早川朱里だって事を示す為の球」

 

「朱里……ちゃん?」

 

実戦で投げたのはボストフ選手を相手にした時の1球だけ……。練習でも新越谷や、川越シニア内でも見せなかった……。私1人でコツコツと長い年月を掛けてようやく形になった球……!

 

「いくよ……!」

 

(この気迫……。今までの朱里ちゃんからは感じられなかった)

 

私は偽燕を投げる為に、今まで投げてきたオーバースローとは異なるフォーム……アンダースローの構えを取った。

 

『ア、アンダースロー!?』

 

 

ズバンッ!

 

 

(こ、これは……!)

 

「凄い……。凄いよ朱里ちゃん!これならアメリカ代表を相手にも負けないね!」

 

武田さんが私の偽燕を見てそんな言葉を贈る。決してお世辞ではなく、本気で言っているんだと思う。でも……。

 

「……悪いけど、決勝戦ではこれは投げない。少なくとも打ち込まれていない現状ではね」

 

「じゃあなんで今投げたの?」

 

「理由は2つ。1つ目はこの球がまだまだ未完成だから……。実戦で使うにはもっと極めておきたい。それを芳乃さんや、捕手の山崎さんに相談しておきたかったから」

 

(あの威力で未完成って……。朱里はどこまで成長していくつもりなのかしら?)

 

「そして2つ目……。私はこの世界大会が終わってから……つまり新学期になってからは今のアンダースローにフォームを転向するつもり。4人は私のリトル時代の映像を見たからわかると思うけど、あのアンダースローこそが私の……『早川朱里としてのピッチング』だからね」

 

これに関してはもう心に決めていた。そしてそれに合わせて右肩の本格治療も決意していた。まぁ肩の治療は大学に行ってからになるんだけど……。

 

「それにしても朱里ちゃんが投げた球って影森の中山さんが投げてたよね?」

 

「確かに……」

 

あっ、そこに疑問を持っちゃう?正直隠す理由もないし、話しておこうかな……。

 

「中山さんが投げた燕は私の母さん……早川茜がかつて投げていた決め球なんだよね。そして母さんが中山さんに伝授させたんだ」

 

『ええっ!?』

 

「い、いつの間に朱里のお母さんと中山さんは接点を持ったのかしら……」

 

まぁ驚くよね……。私も全然知らなかったもん。私達が夏の全国大会に励んでいる時に偶然中山さんに会って、その勢いで中山さんに指導したって話だったし。

 

「じゃあ一旦休憩!」

 

「了解」

 

「タマちゃーん!後で私も投げたいな~!」

 

「ちょっ、くっつかないで!」

 

……アメリカに来ても武田さんと山崎さんは平常運転な気がするよ。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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