金原が打った打球は……。
「右中間抜けた!」
「ランナー回れーっ!」
まずは三塁ランナーの私がホームイン。これで1点先制。
(とりあえず先制点は取れた……。あとはこれで逃げ切るつもりで夜子さんと私で投げ抜かないと)
そんな事を考えている間に二宮も還ってきた。これで2点目。夜子さんは三塁でストップ。ノーアウト一塁・三塁……。まだまだ得点のチャンスだ。
「やった!アメリカ代表を相手に2点先制!」
「これまでの世界大会ではアメリカ代表と試合をしてた時はずっと先制点取られてたから、そういう意味でもこの先制点は大きいよ!」
「日本代表はこの2点を守り抜かないとね……」
「アメリカ代表を抑えられるかはまだわからないけど、これは投手からしたらありがたい援護よね」
「それでも2点じゃ足りないかもだから、日本代表はどんどん点を取っていきたいね~」
≪あちゃー、先制点取られちゃったか…≫
≪彼方は日本生まれですし、日本代表の活躍は嬉しいものなのでは?≫
≪まぁ間違いじゃないんだけど、数年はアメリカで育ってきたから、アメリカ代表にも頑張ってほしいんだ……≫
≪カナタの心境は複雑なものがあるな。これだと日本人であるマミやミッキーなんかも心のどこかでは日本代表の活躍を嬉しく思っているのかもな≫
≪ボスの言い分もわからなくはないですが、試合に出ている以上はそういった感情はデリートした方が良いでしょう≫
≪ジータって結構厳しい事を言うよね……≫
「朱里ちゃん、瑞希ちゃん、ナイスラン!」
「ありがとう清本。正直この2点はとても大きいと思う」
「そうですね。もしかしたらこれ以上は点を取れないかも知れません。その事を考えると、なんとしてもこの2点を守り抜く必要があります。夜子さんと朱里さんには頑張ってもらわないといけませんね」
本当にそれ。特にウィラードさんが清本以外に投げるようになったら、誰がウィラードさんを打つのさ?清本ですら打ちあぐねているのに……。
カンッ!
「あっ、また打った!」
2番の朝海さんが打った打球はショートへと痛烈な当たり。これが抜ければ、2点追加で取れそうだけど……。
バシッ!
『アウト!』
「いいっ!?」
ショートのロジャーさんが難なく打球をキャッチ。三塁を飛び出していた夜子さんは一瞬遅れて三塁へと戻るけど……。
『アウト!』
間に合わずアウト。これでツーアウト一塁となってしまった……。
「不覚を取った……」
「ドンマイ夜子。あんたは打席で貢献したじゃない」
「元を言えば私がライナー性の打球を打ったのが原因……。夜子ばかりを攻められないわ」
「朝海姉さんもちゃんと守備で貢献してるし、気にしないの」
ベンチでは夕香さんが夜子さんと朝海さんを慰めている。こういうところから3姉妹の絆を見られるとは思わなかったよ……。
「うわっ!ゲッツー取られてる!?」
「ショートは完全にロジャーさんの守備範囲だったね」
「ロジャーさんの守備の特徴としては、ファインプレーを出さないっていうのがあるよ」
「ファインプレーを出さない……?」
「過去のアメリカの試合映像を見る限りだけど、ロジャーさんは守備の時に飛び付いたり、ジャンプしたりする事がないんだ」
「そ、それって守備に対してはかなり消極的なんじゃない?」
「かなり安定した守備を見せるロジャーさんに付いた異名が『Brilliant defense』だよ!」
「英語で華麗なる守備って意味の言葉だね~。あとロジャーちゃんはヘッスラもしないからゴロに打ち取ればかなり楽な相手なんだよ~」
「でもロジャーさんは滅多にゴロを打たないから、ヘッスラも必要ないのかも知れないね」
(そもそもそのロジャーさんと対戦する機会が私達にあるのかしら……)
ロジャーさんによるゲッツーで勢いが止まってしまったのか、次の友沢も凡退してしまう。
(チャンスの場面で清本に回ってくれば、もしかしたら……って思ったけど、そう上手くはいかないね……)
裏の回はもしかしたら上杉さんに回ってくるかもだし、出来るだけランナーが溜まらないように祈っておこう……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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