最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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ワンポイントの終わり

4回表。先頭の清本は三振に倒れてしまった。

 

「ご、ごめんね。三振しちゃった……」

 

「今のは打てなくても仕方ないよ。初見じゃ尚更だって☆」

 

「最後に投げられたスライダー……あれをいつでも投げられるとしたら、ウィラードさんから点を取るのは難しくなりますね」

 

二宮の言うように、ウィラードさんが清本に投げたあの高速スライダーは過去のデータ(二宮調べ)よりも数段キレと球威が増している。あれ程の変化球を初見とは言え、清本が三振してしまうとはね……。

 

「で、でもウィラードさんが投げるのは清本さんの時だけですよね?それならまだ私達にも得点のチャンスはあるんじゃ……」

 

朝日さんが清本以外にはアルヴィンさんをぶつけてくるとわかっているから、追加点を取れるのではないか……と期待している。確かに金原、朝海さん、友沢、夕香さん、夜子さんとアルヴィンさんの球に対応し始めているし、私や二宮、朝日さんも3打席目になればある程度対応出来るだろう。しかし……。

 

「……どうやら向こうはそのチャンスを潰すつもりみたいだね」

 

「えっ?」

 

マウンドを見てみると、ウィラードさんが立っているまま……。つまりここからはウィラードさんが残りのイニングを投げるという事だ。

 

「それにしても思ったよりも早いね?早くても次のイニングくらいからだと思ってたよ」

 

「私も同意見です……が、リードを許してしまっている以上、予定よりも早めてのウィラードさん投入……という訳ですね」

 

それにしても不味いな。果たして今の私達がウィラードさんの球が打てるんだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらアメリカ代表はウィラードちゃんのワンポイントを止めるみたいだね~」

 

「清本さんに投げられたストレートとスライダー……。この2つを打つのは困難になってくるよ」

 

「さ、幸いリードはしてるし、このまま逃げ切れるんじゃないかしら?」

 

「だったら良いんだけど……」

 

「大丈夫だよ」

 

「ヨミちゃん……?」

 

「朱里ちゃん達は……日本代表は絶対に勝つよ!私はそう信じてるから」

 

「ヨミちゃん……。でも真深ちゃんの応援もしてるんだよね?」

 

「はっ!そうだった……」

 

「中々煮え切らないね~」

 

「まぁヨミちゃんと真深ちゃんは従姉妹同士ですし……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪アメリカ側のワンポイントは終わりみたいですね≫

 

≪思ったよりも早かったな?私はてっきりこのイニングまではアルヴィンを引っ張ると思っていたが……≫

 

≪……アメリカ代表は今負けてるからね。敗色ムードを打ち消す為に、ユイちゃんを続投させたのかも≫

 

(実際に清本さんを三振に取ったスライダーと、その直前に投げたストレート……あれはアメリカにいた頃よりも、そして遠前で投げている時よりも凄かった……。ユイちゃんが凄いって気持ちと、私も負けてられないって気持ちの2つが私の中で芽生えたよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(は、速い……。しかもそれだけじゃなくて、手元で凄く伸びてくる……)

 

続投したウィラードさんを相手に、夕香さんはあっという間に追い込まれた。

 

(遊び球なし……。3球で決めるぞ!)

 

(もちろんよ!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

(スライダー……!)

 

夕香さんも清本に投げてきたスライダーを空振り。三振になり、これでツーアウト。

 

「アンダースローだからなのかな……?感じる球速がアルヴィンの時の比じゃないわ」

 

「データを見る限りアルヴィンさんとウィラードさんの最大球速に差はほとんどありません。それでもウィラードさんの方が速く感じるのには2つの理由があります」

 

「2つの理由?」

 

「1つ目は夕香さんが先程言っていたように、ウィラードさんがアンダースローの速球派投手だから……。アンダースローは基本的に速球派の投手はかなり稀少で、ウィラードさんの場合はそれに加えてオーバースローの投手並の球速を持っています」

 

確かに……。ウィラードさんってアンダースローなのに、破格の球速を秘めてるよね。プロでもトップクラスの投手になりそうなんだけど……。

 

「2つ目は手元で伸びてくるストレートですね。これに関しては朱里さんも得意としていますが、ウィラードさんの投げるストレートは打者の手元で伸びていき、更に下から上にホップする印象なので、高めボール球3つ分のコースを予測してスイングしないと、当てるのがほぼ不可能になります」

 

ウィラードさんのストレートの特徴は母さんや中山さんが投げた燕や私の偽燕にも同じ共通点がある。

 

(もしかしてウィラードさんも母さんに燕になるような球を教えてもらった?それとも母さんの燕をヒントに自分で今のストレートを編み出した……?)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

7番の朝日さんも三振。これで4回表は終了した。

 

「……早川さん、少し早いけれど、裏の回から投げてもらっても大丈夫かしら?」

 

やはりそうなるか……。向こうがウィラードさんを早期投入した以上、私達日本代表も逃げ切りの形を取らざるを得ないからね。

 

「……わかりました。残りの4イニング、精一杯頑張ります」

 

私は監督にそう言ってマウンドに立つ事になった。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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