『ゲームセット!!』
猪狩さんから再び渡辺に代わり、渡辺が5番、6番を抑えて引き分けとなった。
「新越谷初の紅白戦は引き分け終わり……か」
「次の紅白戦では私も投げたいなー」
「これから紅白戦は毎週土曜日と第1週、第3週の日曜日にやるからね!」
芳乃さんが笑顔でそう言った。紅白戦はこれからの恒例行事になるみたいだね。
「第2週、第4週の日曜日はこれまで通り、他校との練習試合を組む予定ですので、覚えておいてください。そこでも新入部員の実力を確認したいので」
『はいっ!!』
今日の部活が終わり、それぞれが帰路に着く。私と春星は帰る家が同じなので、2人で歩いている。
「……今日は楽しかった」
「良かったね。楽しめて」
「最初は朱里へのリベンジばかりを考えてた」
そ、そういえば部室に来る前はそんな事を言ってたっけ……?
「でも猪狩センパイと勝負をして気が変わった。もっと色んな投手とも勝負をしたくなった。台湾にいた頃は相手投手との勝負が楽しいと感じる事はなかった……」
「春星……」
世界大会で春星のいた台湾代表と試合をした時はただ淡々と野球をしていたように見えただけに、今日の春星の精神面においての成長はかなり大きいものになる。
「明日からは武田センパイとも、息吹センパイとも、藤原センパイとも、川原センパイとも、渡辺センパイとも、そして朱里とも……どんどん勝負したい」
「ほ、程々にね……」
……いや、これただ単にジャンキーが1人増えただけだったよ。
「ただいま……」
あっ、そうこうしてる内に家に着いちゃった……。
「2人共お帰りなさい。2人にお客様が来てるわよ」
私達に客人……?私達2人に用がある人ってまさか……。
「待ってた」
「姉さん……」
や、やっぱり秋月さんか……。私だけならともかく、私と春星の2人に用がある人ってこの人しかいないもんね。あとは春星と秋月さんのご家族くらい?
「今日はオフだったから、久し振りに春星や朱里と話がしたかった」
「そ、その為にわざわざ千葉から……?」
「もちろん。妹に、家族に会う為に休みを利用するのは当たり前」
春星を家に迎え入れるにあたって、陽春星の姉である陽秋月さんがシスコンである事がわかった。しかも本人には自覚がないと言うね?
秋月さんはこの春から千葉にある男女混合のプロ野球チームに所属している。
※この小説のプロ野球チームはオリジナルですが、陽秋月等が所属しているチームのイメージは千葉ロッテ◯リーンズと思ってください。詳しくは当小説の続編に当たる『最高の選手を目指して!』に掲載予定。
「春星はもちろん、朱里の事も妹のように思ってる。何か困った事があったら力を貸す。母校の梁幽館よりも優先するから……」
「そこは母校を優先しましょうよ……」
梁幽館の人達が泣いちゃいますよ!全く想像出来ないけど……。
「……可愛い妹の顔も見れたし、梁幽館に寄って帰る」
「姉さん、送ってく……」
「春星はゆっくりしてなよ。今日の紅白戦で疲れてるだろうし、私が送ってくよ」
「朱里……。わかった。ありがとう」
「春星はどうだった?入学式から早々に紅白戦があったみたいだけど……」
「大活躍でしたよ。彼女がいなければチームは負けてたかも知れません」
「部に馴染めてるみたいで良かったよ。あの子は人見知りな部分があるから、心配だったんだ」
秋月さんに聞くところによると、春星は台湾のシニアチームでも余り人とは会話せず、黙々と練習に励んでいたらしい。まぁ寡黙だもんね。
「……でも新越谷ならあの子は変われる気がする」
「変わりますよ。絶対に……。私達が保証します」
「あの子を……お願いね」
「任せてください」
小さく手を振って秋月さんと別れる。秋月さんにも頼まれたし、春星がもっと新越谷に馴染めるように頑張らないとね……!ってあれ?秋月さんが立ち止まったんだけど……?
「……私の事はこれからお義姉さんと呼んでも良い」
「え、遠慮しておきます……」
それ言う為にわざわざ立ち止まったのこの人……?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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