ノーアウト一塁で、打者は佐倉陽奈さん。一塁ランナーが日葵さんなので、この状況は佐倉姉妹の十八番になる訳だ。ここまでは白糸台の得点パターンと変わらないけど……。
「走った!」
黛さんが振りかぶった瞬間に、日葵さんがスタート。
ズバンッ!
『ボール!』
「よいしょ~!」
非道さんは捕手全体で見ればかなり肩が強い方で、黛さんも球速は控えめではあっても、クイックモーションはきちんと出来ている。並の走者なら刺せる筈。そう、並の走者なら……。
『セーフ!』
日葵さんは悠々と二塁ベースに辿り着いていた。仮に投げている投手が大豪月さんだったとしても、多分ギリギリセーフだったと思う。それくらいに、日葵さんのスタートは完璧だった。
(おおっ?なんかいつもより身体が軽い感じがするなぁ……。これが地獄の合宿の成果ってやつ?しかも今は途中段階だから……合宿終了時にどれだけ気持ち良く走れるか、楽しみになってきたよ~!)
(日葵……また足が早くなってるわね。それならいつも通りの作戦でホームに還せそうだわ)
「それにしても彼女、かなり足が速かったわね……」
「本来の日葵さんより更に足が速くなっています。これが合宿の成果でしょうね」
「あの走力は去年の県大会時点での私達3姉妹と同等かも知れないわね」
「あれ?それなら私達だって合宿乗り越え成果でもっと足が速くなっているのでは?」
「夕香姉さん。私達が練習に合流したのは今日からだから、まだ成果と呼べるものはない筈……」
いやいや、昨日の今日で成果が出てるのは可笑しいんだよ?プラシーボ効果の可能性だってあるよ?まぁ口には出さないけどさ……。
コンッ。
白糸台の得点パターン……日葵さんが出てからの陽奈さんが放つエンドラン。今回はバントエンドランみたい。
「1つ~!」
「は、はい!」
非道さんは冷静に、清本へと指示を出す。清本が一塁へと送球した瞬間……。
「加速っ!!」
二塁ランナーの日葵さんが三塁を蹴って、ホームにむかう。これに対してほとんどの人が驚いていた。佐倉姉妹の攻撃連携がわかっている人はある程度予測していたみたいだけど……。
『アウト!』
一塁はアウト。しかし……。
「先制点GET~♪」
日葵さんが悠々とホームイン。私達混合チームが先制点をもぎ取った。
「ナイスランデース!」
「ありがとー!バンちゃん!」
ベンチでは次の打者であるバンガードさんと日葵さんがハイタッチをしていた。この2人は雷轟や武田さんに負けず劣らずパワフルだね……。
「それにしても良い走塁をしてるわね。バントエンドランでセカンドからホームに還ってこられるなんて……」
「ふふーん!走塁に関してはガールズ時代から得意だったもんねー。あれくらいなら余裕だよー!」
胸を張って威張りながら、褒められた事に対して嬉しそうにする日葵さん。こういうところも雷轟達にそっくりだ。
「このまま勢いに乗ってやるデース!」
というバンガードさんの発言から……。
「ハッハー!」
カキーン!!
「私も続こうかしら……!」
カキーン!!
「これで3連打ーっ!!」
カキーン!!
バンガードさん、上杉さん、雷轟と続けてホームランを放つ。3人共海に落ちるスプラッシュアーチじゃん。これで4点リードした訳だけど……。
(それにしてもあっさりと打たれ過ぎな気がするなぁ……)
私の気のせいなのか、それとも向こうに何かしらの意図があるのか……。その答えがわかるのは二巡目以降になるだろうね。
「クリーンアップの3人は黛ちゃんから見てどうだった~?」
「……3人共、清本さんのスイングに大分近付いています。この調子で行けば、合宿が終わる頃には完成していると思います」
「そっかそっか~。それなら『打たせてあげた甲斐』があったね~」
「あとはどうしましょうか……?」
「ん~?黛ちゃんの思うままに投げちゃって良いよ~。合流は4回くらいになるだろうって言ってたし、それまでの間は任せるね~」
「了解、しました……」
4点取った勢いのまま……とは行かず、6番、7番と凡退に倒れてしまった……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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