6回表。この回は黛さんから代わった大豪月さんが打席に入る。
(先程の投球……しかと見せてもらったわ。あの強靭な上半身から投げられる球に近いレベルのストレートが投げられるのね。まだ途中段階だけれど、彼女に通用するか見せてもらうわ)
ズバンッ!
『ストライク!』
(ほう?鉞投法か……。中々ストレートも速いし、将来有望な奴になりそうだな)
ズバンッ!
『ストライク!』
(相手チームの内の3人が特別練習メニューSを行っている最中だったな。それなら見せてやろう……!)
ツーナッシングから投げられる球はナックル。清本を抑えた時と同等か、それ以上の変化をしている。
(ナックルか……。丁度良い。どんな球をも打ち砕く、覇竹の如きスイング……これぞ特別練習メニューSの完成形だ!!)
カキーン!!
だ、大豪月さんが打った打球は!?
「フム……。芯から僅かにズレたが、我が力からすれば充分だろう」
ズドンッ!
「全く……。弁償してもらうぞ?大豪月よ」
「フハハハハ!硬い事を言うんじゃない!」
大豪月さんが放った一打はレフト側のポールを叩き折るホームランとなった。どれだけ力を込めたら、あんな一打が出せるんだよ……。
(大豪月はこの島の特別練習メニューAと、特別練習メニューSを毎年完璧にこなし、年に2回は魔の六甲おろし坂を自転車で、息継ぎなしで登り切る女だ。単純なパワーとスタミナだけならこの中では1番だし、球速もプロ野球に入ったとしても1、2を争う……。奴を越えるような投手、野手が現れるのか……見せてもらうぞ?)
(あれが特別練習メニューSの完成形……。真深達があれを会得出来たのなら、スラッガーとして、大成するでしょうね)
(流石大豪月さん……。洛山を卒業してから、更に力を付けてる。私も負けてられないよ……!)
(打力日本一と呼ばれる洛山高校のOGで、清本さんが入るまで4番を務めてた大豪月さん……。貴女のスイングを見習って私達も精進していくわよ)
(凄いなぁ大豪月さん……。私もあんな風にホームランを打ってみたいよ!)
大豪月さんに打たれた夢城さんは後続の打者をバックの守備力込みで抑える。夢城さんの打たれ強さは見習うべきなのかも知れないね……。
「ナイスピッチ!」
「ありがとう。けれど私だって長くはもたないわ」
「えっ?」
「体力的には全然問題ないけれど、この試合は合宿中に最低でもあと1回はやるのだから、これ以上私の持ち球を晒されてはつるべ打ちされるのが関の山よ」
夢城さんはそう言ってベンチに戻る。そうだよね。多分合宿中に同じ組み合わせで試合が1回以上ある事を考えれば、他の人も投げないといけないんだよね……。
(その辺りも他の投手陣と相談するべきか……)
「……ここまでの仕上がりで進んでいるのは夢城由紀ただ1人だな」
「そうですね~。夢城ちゃんはこの試合の意図にも気付いていますし、その上で投げてるようにも見えますね~」
「他に気付いているのは、白糸台の二宮さんくらい……でしょうか?」
「ウム。流石は神童が認めた捕手だな!奴は全高校生……いや、プロの中でも1番の性能を持っている」
「惜しむべきはそれを表に出そうとはせず、本人も自覚していない事……か。意識させれば、誰にも負けない捕手に育つだろう」
「スラッガーの方はどんな感じですか~?」
「私の見立てでは上杉真深が頭1つ抜けていて、それに雷轟遥とテナー・バンガードが続く感じだろう」
「上杉さんは、アメリカの中でも1、2を争うレベルの環境で野球をしていましたから……。洛山と前に練習試合をした時も、1人だけ、他の人よりも沢山の成果を発揮していました……」
「それと雷轟ちゃんは~……」
「非道さん?」
「……ん~?なんでもないよ~」
(雷轟ちゃんに関しては風薙ちゃんと血の繋がった姉妹だって事は多分禁句なんだよね~。本来なら2人で徒党を組んで、野球をしていただけに、少しもったいないよね~)
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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