6回裏。この回は3番のバンガードさんから始まるんだけど……。
ズバンッ!
『ストライク!』
「どうした?私はただのストレートしか投げていないぞ?私をもっと楽しませろ!」
大豪月さんの投げる豪速球にきりきりまい。このままだと不味いよね……。まぁ一応初回に取った4点のお陰でリードはしてるけど。
「バンちゃんの得意球ってストレートなのに、全然打ててないね……」
「確かにあのストレートは私達が今まで見てきた中でも1番速いわ。打つのは至難の技ね」
「……クリーンアップの3人しかあのストレートを打てないでしょうね」
「夢城さん、どういう事?」
「真深達がやっている特別練習メニューSは清本和奈が得意とする覇竹の如き高速スイングを会得する為のもの……というだけの話よ」
「先程大豪月さんが見せたスイングがその覇竹のスイングに当てはまるでしょう」
夢城さんと二宮の補足説明によってようやく合点がいった。この試合……もといこの合宿の目的が。雷轟、上杉さん、バンガードさんの3人は大豪月さんや清本が見せたあのスイングを完成させる事、武田さん、川原先輩、鋼さん、夢城さんの4人はそれぞれタイプは違えど、大豪月さんのような剛球が投げられるようになったり、薪割りによって体力が身に付く。
(そして私のウィラードさんの方も、アンダースローで何かしらの成果が出ている筈……)
それが恐らく母さんが投げていた燕の事なんだと思う。社長は私とウィラードさんに母さんがやっていた練習と同じ事をさせて、燕を継承者を増やそうと考えている……のかな?つまり燕も母さんがこの島で身に付けた球なんだ。
ガッ……!
「フム、当てるだけでも大したものだ。だがそんな拙いスイングでは到底覇竹には辿り着けんぞ!」
『アウト!』
バンガードさんが大豪月さんの豪速球をなんとか当てるものの、その打球はふらふらと上がって、ピッチャーフライとなった。
「悔しいデース……」
「次は真深ちゃんの番だね!」
「あの豪速球は打てそう?」
「……まだ打席であの豪速球を見ていないから、なんとも言えないわ。けれど私達が練習している特別練習メニューSの完成形のスイングを身に付ける良い切欠になるかも」
基本的に相手投手の気合い入った球は打席で見ない事には明確な攻略は出来ない。上杉さんもそれがわかっての発言だろうね。
(彼奴が上杉真深か……。世界一の日本人高校生スラッガーと、アメリカで轟かせたその実力を……見せてもらうぞ!)
ズバンッ!
『ストライク!』
(確かに速いわ。それも彼方先輩以上……。でも大豪月さんが投げているのは本人の言うようにただのストレート。打てない手立ては……)
ワンストライクから2球目。先程とは逆のコースにストレート……で良いんだよね?速過ぎてわかり辛い……。
(ないわ!)
カンッ!
『ファール!』
上杉さんの一打は低い弾道で、ライトフェンスに突き刺さった。先程の大豪月さんのホームランと言い、今の打球と言い、球場が破損しそうな気がするんだけど……。
「ほう?当てるくらいなら造作もないか……」
「貴女が投げているのはいくら速く、重くても、『ただのストレート』に過ぎませんから……」
「成程な。確かにその通りだ。先程私も豪語したしな。今の2球で目が慣れてきた頃だろう……。止めはコイツをくれてやる」
マウンドにいる大豪月さんが何か言っていた。止め?まさか次に投げてくるのは……!
(確かに目が慣れてきたわ。先程のファールで身体も着いて来れる事もわかった……。この3球目を……!)
「打つ!!」
(ふっ……。私のストレートに未完成の覇竹で着いて来た事は褒めてやる。だがここまでだ)
(なっ!変化した!?)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
あ、あの上杉さんが空振り!?しかも今の球は、私の目に狂いがなかったら……!
(あの速度で……変化した!?前に大豪月さん達と試合をした時に投げた変化球とは球速が全然違う!)
「…………」
バンガードさん、上杉さんと連続で三振……。次の雷轟が大豪月さんの球を打つ事が出来るのかな?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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