イニングは進み6回表。スコアは6対8で私達が負けている。
決して川原先輩の調子が悪い訳じゃない。しかし洛山+黒獅子重工の選手達の打撃力がそれを上回っている……。ただそれだけの話だった。
こちらも負けじと反撃。黛さんの剃刀カーブは未だまともに打てていないけど、左打者が大活躍。重りの影響をほとんど見せずに6点まで取る事が出来た。
「さぁ反撃だ~!」
「なんとしても同点に追い付くわよ!」
『おおっ!』
武田さんとウィラードさんの応援によって全体の士気が上がる。それにしても……。
「なんか重りまみれになったね。お互いに……」
「そうだね……」
私達は8点取られていて、追加4点分の重りは初回に好走塁を見せた日葵さんの足に1点分、あとはバンガードさん、上杉さん、雷轟の腕に1点分ずつ追加された。
相手チームには外野手の腕と足に6点分の重りを集中させた。私達の打撃力の期待値を考えると間違ってはいない筈……!
「あれ?向こう……選手の交代をするみたいだよ?」
「黛さんを交代させるのかしら……?」
相手チームが選手の交代を行おうとしている。誰が代わるのかと考察していると……。
ズズズズ……!
『!?』
私達の中で半分の人達が私と同じ反応をしただろう。急に感じるこの妙な圧は……。
(間違いなく昨日に私達の背後に現れた2人組だ……!)
それにしてもいつの間に向こうのベンチに来たんだろうか?気配も全く感じなかったし、なんならこの球場に入ってくるのを見てない気がするんだけど……?
「来たな2人共!」
「まぁこの試合に出るっていう話でしたし……」
「やっているのは封鎖野球なんですね」
「我が黒獅子重工と洛山高校の地獄の合宿にとってなくてはならない存在となったのだ……。合宿毎に必ずやる事になっている!」
「それで……私達はどこのポジションに入れば良いですか?」
「2人にはショートとセンターに入ってもらう。2人がどっちのポジションに入るかは任せるぞ!」
「「了解しました」」
私達5人が昨日会った2人の女性はそれぞれショートとセンターに入っている。ショートに入ったのが響さんという名前で、センターに入ったのが大宮さんという名前みたいだ。
「本当にあの2人も出るんだ……」
「でも内1人は腕と足に重りを付けてるよ!」
「社長が封鎖された箇所は交代先の選手にも引き継ぐって言ってたから、あの人は腕と足に重りを付けているんだね……」
「どんな選手だろうと、私達は逆転するだけよ」
「……そうね。由紀ちゃんの言う通り、私達は逆転するだけ。頑張って行きましょう」
この回は9番の川原先輩から。前の打席でも成果を出しているから、期待出来そうだ。
(センターが他のポジションと比べて深め……というかフェンスギリギリまで守ってる……。狙うならセンター返し!)
カンッ!
「初球から打っていった!」
「あのセンターの人は深めに守ってるから、ピッチングは確実だよ!」
「光先輩は長打力もあるから、あのセンターの人もそこを警戒して守ってたのかもね」
(本当にそうだろうか?もしもあのセンターの人がそんなあからさまな守備位置をしてるとは思えない)
あの人にも何か裏がある筈……私の予想は当たってしまう。
ズザザッ!バシッ!
「よっ……と」
『アウト!』
「う、嘘……。フェンスギリギリの位置から、センター前の打球を捕るなんて……」
「私達3姉妹並か、それ以上の守備範囲……」
「それだけではなく、彼女には腕と足に重りが装着されています。にも関わらず悠々とスライディングキャッチを決めていました」
あのセンターとショートからは底知れなさを感じる……。今センターが見せた村雨並の広い守備範囲と走力に加え、恐らく打撃方面も只者じゃないだろう。
(不幸中の幸いなのは川原先輩が順調に抑えれば、最終回に彼女達の打席までは回ってこない事……)
あの強力な打線を乗り越えるのは難しいけど、彼女達の事を考えるとなるべく抑えたいって思っちゃうよね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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