7回表。最終回となるこのイニングで私達はビハインドを覆さなければならない。ちなみにスコアは変わらず6対8ね。
あと前のイニング……6回裏には交代で出て来た妙な威圧感の持ち主である2人の内の1人……響さんに打席が回ってきたけど、1球も振らずに三振。私は気になって響さんにその理由を聞いてみると……。
「私と鈴音のこの試合での役割は守備のみ……それも本来の守備範囲以外には手を出さないのと、攻撃には一切参加しない事を条件で社長と契約したのよ」
との事だった。ちなみに鈴音というのは大宮さんの事で、響さんの下の名前は未来と言うそうだ。また……。
「私達と勝負をしたいのなら、黒獅子重工で待っているわ。私も鈴音もあと数年は所属しているから」
と響さんは言っていた。まるで数年後には黒獅子重工を辞めるみたいな発言……私は響さんの発言の意味がこの時はわからなかった。
試合に戻って7回表。この回は3番からだ。
「絶対に打ってやるデース!」
「頑張れバンちゃーん!」
(あと、3人……)
(それにしてもまさか最後まで黛ちゃんが投げる事になるとはね~。……全員右打席だから、剃刀カーブ中心に攻めていけそうだね~。両打ちの雷轟ちゃんが左打席に立たない理由もある程度わかるから、敢えてそれに利用されておこうかな~)
ズバンッ!
『ストライク!』
(この変化の軌道……瑞希サンの言ってた通りデース)
「そういえば瑞希ちゃん、バンちゃんと何を話していたの?」
「……良い機会ですので、皆さんにも話しておきましょうか。あの剃刀カーブの弱点の1つを」
二宮が私達に……特にこの回に回ってくる3人に重点的に話し、それぞれの役割を与える。
カキーン!!
「!?」
『打った!!』
バンガードさんが打った打球はレフトへ。
『ファール!』
「ああ……」
「惜しかったね……」
(でもタイミングは合ってた。バンガードさんは変化の大きい球を苦手としているけど、変化球はそもそも力のない球がほとんどで、剃刀カーブもその1つ……。タイミング話を合わせれば長打も狙えるって訳だね)
それにここでバンガードさんが打たなきゃ、逆転はほぼ不可能となってしまう。
(絶対次に繋げる……)
「デース!!」
「前に突っ込んだ!?」
カキーン!!
打球は高いバウンドで内野の頭を越えた。
「センター、お願いします!」
「任せてよ」
バウンドを捕球したセンターの大宮さんが中継もなしに、ファーストへと送球。肩強っ!?
「絶対に生き残ってやるデース!!」
ズザザッ!
バンガードさん決死のヘッドスライディング。ファーストミットが奏でる捕球音とほぼ同じタイミングだった。判定は……!?
『セーフ!』
「やった!先頭が繋いだよ!」
「次は真深ちゃんだね!」
「ホームランで同点だ~!」
「…………」
武田さん達の声援に対して、上杉さんは何かを狙っているような顔をしている。
「……この局面、真深は狙うつもりね」
「そうね。お誂えだもの。真深が打席に立つ前にバンガードさんと話し合っていたのも、あれを行う為だと思うわ」
ウィラードさんと夢城さんは上杉さんの狙いがわかっている。流石チームメイトと言ったどころか……。
(次は、どうしましょうか……)
(さっきのバンガードちゃんの事を考えると、連続して剃刀カードを投げるのは危険かな~?)
(そうなると、1球様子見で投げた方が良いでしょうか?)
(そうだね~。でもコースはストライクゾーンを投げようか~)
(わかりました……)
黛さんの1球目。様子見のつもりだろうか?低めにストレートを投げてきた。
(ストレート、コースは低め……。やるしかないわね)
「行くデース!」
えっ?バンガードさんが盗塁!?
コンッ。
『ええっ!?』
上杉さんは上杉さんでセーフティバントだし……。私を含める全員(ウィラードさんと夢城さん以外)が驚いてるよ。
(これはやられたね~。様子見の球を投げてくる事をピンポイントで読まれちゃったよ~)
『セーフ!』
上杉さんの奇襲セーフティバントは成功。ノーアウト一塁・二塁となった。
(私達はやれる事をやったデース)
(あとは任せたわよ。遥ちゃん!)
このチャンスの場面で回って来たのは雷轟だった。
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