「朱里ちゃんと2人きりになるのも久し振りだね!」
「そうだね。多分中学以来じゃない?」
私は食後の散歩がてら海辺を歩いている。雷轟も着いて行きたいと言ってたので、同行を許可した。今の雷轟に対して気になる事もあるしね。
「ね、朱里ちゃん……」
「どうしたの?」
「朱里ちゃんはその、あの人と……」
雷轟の言うあの人というのは風薙さんの事だろう。まさか雷轟の口から風薙さんの事を聞けるとは思わなかったな……。
「……ってあれ?」
「雷轟?」
「朱里ちゃん、あそこに2人って確か……」
雷轟が指した方向には大宮さんと響さんがいた。
(こんな所で何を……?でもあの2人の情報を手に入れるチャンスかも)
あの2人の情報収集に勤しむ。二宮じゃないけど、情報って大切だもんね。二宮じゃないけど!
「…………」
「…………」
(何か……話している?)
私も雷轟も耳は良い方だから、この距離でもある程度の声は耳に入る。
(朱里ちゃん、朱里ちゃんもあの2人が気になるの?)
(まぁね。雷轟も……?)
(うん……。あの2人からは色々なものを感じるんだ。もしも何かが違えば、あの2人が今の私達と同じ立ち位置になってたんじゃないかって……)
(成程ね。雷轟なりにあの2人について知ろうと思ってるって事か……)
ちなみに何かが違えば云々は聞き流す事にした。なんとなく禁忌に振れそうだと思ってしまったから……。軽く首を横に振り、あの2人の会話を聞く事にした。
「私達が黒獅子重工に所属してからもう1年以上が経つんだね……」
「そうね。私達もあの環境かなり適応してきたもの」
1年……という事はあの2人が黒獅子重工に所属したのは私達が新越谷に入学した時期とほぼ同じか……。黒獅子重工の選手達はトッププロも顔負けの実力者揃いだと二宮から聞いている。たった1年で、もしくはそれよりも早い段階で1軍昇格した事になる。でもあの2人ならそれも不思議じゃないと思ってしまう。
「それで……未来のお眼鏡にかなった人達は相手チームの中にいた?」
「ええ、何人かは。鈴音の方はどうかしら?」
「こっちも何人か逸材がいたよ。でも……」
「その内のほとんどは高卒時点でプロ野球球団に所属し、残った彼女達も何れはプロへ……と」
「そうなんだよね。私達が社長に命じられている『黒獅子重工へ有力な選手達をスカウトする』という目的に果たして何人が乗ってくれるかな……」
「今のところは大豪月、非道、黛千尋の3人は確定しているわ」
「あの3人……特に大豪月さんと非道さんは社長とは旧知の仲みたいだからね。だから実質スカウト出来たのは黛さん1人だけになるかな」
「……そうみたいね。有栖と真澄の方は川越シニアを中心としたリトルシニアチームや、ガールズチームからも早い段階からスカウトに動いているわ。そして大器晩成型の選手に当てはまる選手を既に数人獲得に成功している……」
「あの2人……特に有栖は巧みに相手を乗せるからね。それに中学生未満って事で刷り込みやすいのかも」
な、なんかとんでもない事を聞いてしまった気がする。川越シニアからもあの2人の仲間がスカウトに動いてるなんて知らなかったよ……。
「それよりも……隠れてないで出て来たらどうかしら?早川朱里さんと、雷轟遥さん」
えっ?バレてる!?
(ど、どうしよう朱里ちゃん……?)
(……正直ここで逃げるとあらぬ誤解を受けそうだし、出て行った方が良いと思うよ)
(だよねぇ……)
私と雷轟はあの2人の前に出る事にした。何を言われるんだろう……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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