合宿終了の翌日。藤井先生は私達5人に休みだと伝えてくれていたけど、私としては色々な理由があって、練習に参加する事に。
「あれ?朱里ちゃん?」
「雷轟……」
後ろから声を掛けてきたのは雷轟だった。よく見ると武田さんも、山崎さんも、川原先輩もいるし、皆考えている事は一緒だったんだね……。
「朱里ちゃんも練習に?」
「そうだね。藤井先生は休んでいても良いって言ってたけど、なんだか落ち着かなくて……」
「朱里ちゃんも?私達もなんだよね……」
やっぱりそうだよね。あとは藤井先生や芳乃さん達にも合宿の報告とかしておいた方が良いかなって思ってたんだよね。昨日は真っ直ぐ家に帰っちゃったし……。
「よーし!今日は投げ込むぞ~!」
「張り切ってるね?」
「そりゃそうだよ!合宿中に私は投げられなかったし……」
「ヨミちゃんは新越谷のエースだから、簡単に手の内を晒すのは良くないもんね」
「まぁ私も川原先輩もまだエースナンバーを諦めた訳じゃないし、精々奪われないように武田さんも頑張らないとね」
「も、もちろんだよ!朱里ちゃんや光先輩には負けられないもん!」
まぁそれでこそ武田さんだよね。
「こんにちは~!」
「あれ?5人共休みのつもりだったのに……」
「えへへ。なんか練習しないと落ち着かなくて……」
芳乃さんの疑問は雷轟が私達を代表して答えた。他の皆もよくそんな元気があるなと言わんばかりの表情をしている。まぁ気持ちはわかる。
「それにしても……5人共雰囲気が大分変わったな」
「ええ。落ち着きも見えて頼もしくなったし、逞しくなったわ。これが地獄の合同合宿の成果なのかしら?」
「そうですか?自分達じゃ全然わからないんですけど……」
主将と藤原先輩曰く、あの合宿で私達5人は心身共に大幅成長したらしい。武田さんとか雷轟を見てるとそんなに変わったようには見えないんだけど……。山崎さんと川原先輩は元々落ち着いた性格の持ち主だし、傍目では判断が付き辛い。
「そうだ!今日は休み予定の5人も来てくれたし、合宿の成果も見てみたいから、紅白戦にしよう!」
「試合!?やるやる!」
芳乃さんの提案に武田さんが最速で乗り、他の皆も賛成みたい。それなら私も断る理由がないかな……。
で、紅白戦開始な訳だけど……。
ズバンッ!
「ちょ、ちょっと飛ばし過ぎじゃないですか!?まだ初回ですよ!?」
武田さんのノビ、キレ、球威が増した球に初野が面食らっていた。確かに今までの武田さんに比べて1、2段階成長した球に皆が驚き、初野と同じ感想を抱いていた。
「えっ?これでもかなりセーブして投げたつもりなんだけど……?」
『えっ!?』
「えっ?」
武田さんの爆弾発言に皆が驚き、武田さんもそれに対して驚く。
「……ヨミちゃん、ちょっと全力で投げてみて。歩美ちゃんは一端打席から離れて見てて」
「えっ?う、うん……」
「わ、わかりました……」
一方で驚いていないのは合宿に参加した私達5人。山崎さんの提案で初野は1度打席を離れる。
「来い!ストレート!」
(そんなに変わったかなぁ……)
ズバンッ!
改めて投げられた武田さんのストレートは合宿前の武田さんの面影がまるでなかった。普通のストレートがかつての強ストレートよりも速く、普通のストレートであの球速ならもちろん強ストレートはそれ以上。
「ほ、他の球も投げてみて!」
「う、うん……」
ズバンッ!
投げられたのはツーシーム。こちらも威力増し増しで私達5人以外が唖然としていた。
ズバンッ!
カットボールとチェンジUPもこれまで以上の威力で最早掛ける言葉がないレベルだった。そして……。
ズバンッ!
最後に武田さんの決め球であり、代名詞と言っても過言じゃないあの魔球。当然こちらも威力が段違いだった。
(な、成程……。これが武田さん達がやっていた特別練習メニューAの成果って訳か)
ちなみにこの後は急遽合宿に行った私達5人の成果を徹底的に見たいと言った皆の提案で私と川原先輩も何球か投げて、雷轟と山崎さんが打撃練習を行った。そしてそれを見た皆が口を揃えて……。
『合宿前とは比べ物にならない……』
と言っていた。そんなになのかなぁ?私達じゃわからないよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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