2回裏。ツーアウトから2人連続でヒットを打ち、二塁・三塁のチャンスです。
『8番 キャッチャー 山崎さん』
しかも打席には山崎さん……。上手くいけば2点以上は取れますね。
(私のリードを山崎さんに見てもらう良い機会だ。それに山崎さんも武田さんと勝負したいだろうし、武田さんも山崎さんと勝負したいと思うしね)
(ピンチの場面でタマちゃんとの勝負……。なんだかワクワクしてきたよ!)
(ヨミちゃんとの勝負……。練習試合とはいえ真剣に勝負するのって実は初めてなんじゃないかな?)
朱里さん、武田さん、山崎さん……。三者三様の想いがバッターボックスから伝わってきています。
(初球……強ストレート!)
カンッ!
『ファール!』
初球から打ってきましたね。山崎さんの性格上武田さんとの勝負は慎重になるものだと思っていましたが……。
(幼馴染との勝負……と考えると、むしろ積極的に打っていくものなのかも知れませんね)
私がもしも山崎さんと似たような立場で和奈さんと勝負するようならば、もしかしたら同じ積極性を持っていたかも知れません。
ズバンッ!
『ボール!』
2球目のカットボールは見送り……。かといって冷静さも失った訳ではなさそうですね。
(今のコースは際どかったけど、ボールか……。山崎さんもよく見たね)
(朱里ちゃん、次はどうするの?)
(3球勝負は難しいってわかってたし、もう1球外すよ。でも空振りを取るあの魔球でお願い)
(うん!)
3球目は空振りを誘う低めのナックルスライダー。初見の打者なら引っ掛かっても可笑しくありませんが……。
ズバンッ!
『ボール!』
しかし山崎さんの行動はどれもピンポイントですね。それぞれの球を一点読みしています。投手が武田さんだからこそ出来る所業でしょうか。
カンッ!
『ファール!』
(今のも打ってきた……。しかし追い込んだ。あの魔球で三振を取りにいくよ)
(OK!)
(!?……これはあの球がくるね!)
カンッ!
『ファール!』
(まぁバッテリーを組んでいた山崎さんにはお見通しだよね。こうなったらどこまで粘られるかわからないけど、全てのコースに投げるつもりでいきますか!)
朱里さんなりに山崎さんへの有効打を探しているのが伝わってきています。下手な行動は読まれるでしょうし、朱里さんにとっては1番難しい打者を相手にしている気分でしょう。
「1つのミスも許されない戦いですね」
「ああ、緊張感が違う。武田も今までで1番の球を投げているしな」
「ヨミちゃんと珠姫ちゃん……。そして朱里ちゃん。これはどっちを応援したら良いんだろう……」
新越谷の面々は川口芳乃さんを始めに複雑そうな顔をしています。しかしこの勝負を楽しんでいる節も見受けられます。本当に複雑そうですね。
「チームとしてなら山崎さんを応援するべきですが、新越谷としてはどちらにも頑張ってほしいところですね」
恐らくはそれが正解でしょう。
カンッ!
『ファール!』
今のファールで20球目ですね。かなり粘っています。武田さんも山崎さんも肩で息をしています。
(武田さんの1番自信のある球でいくよ)
(……それならもちろんあの球で!)
(そうなるよね。最高の球できてよ)
21球目。投げられたのはナックルスライダーですが……。
(嘘っ!?こんな大きな変化……見た事がない!)
山崎さんの想定よりも大きく曲がっていました。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
高校野球史上の名勝負だと思われます。2人共、お疲れ様でした。
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