試合が終わった直後の沖田は悔しそうにしながらも、次は全国で……という言葉を最後に新越谷を後にした。土方さんを始めとする他の天下無双学園の人達はそれを追い掛ける形で去って行く。慌ただしい人達だな……。
(次に当たる時はもっと強くなっているだろうね……)
私も負けてはいられない。今日以上のピッチングが出来るように日々精進しないと……!
……という出来事から数日。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「また三振……。朱里の球を打てる人っているのかしら?」
「全員が三振してるもんな。希や、キャプテン、春星と遥までもが……」
「もう1回!もう1回勝負して!!」
「1日1打席だよ。そういう約束でしょ?」
今はこのように中村さんを始め、全員が毎日のように私に1打席勝負を挑むようになった。
「朱里ちゃんの球、天下無双学園との練習よりもキレと球威が増してきたね」
「はい……。改めて味方で良かったと思いますよ。もしも朱里先輩が敵だったと考えると……」
「むぅ……!私も負けてられないなぁ。希ちゃん、私とも1打席勝負しよ!」
「するする!!」
あの練習試合から投手陣全員(サブポジションで投手を務める人も含める)が打者全員と1日1打席勝負をする……という項目が追加された。これは私達投手陣はもちろんの事、対戦した野手の成長にも繋がる。仮想選手を想定しながら勝負すると、その人に対する対策が浮かんでくる可能性もあるしね。
「……で」
「で?」
「今日って抽選会の日だったよね?」
「そうだね。それがどうかしたの?」
「朱里ちゃんは着いて行かなかったんだなぁって」
「ああ……。私との1打席勝負を楽しみにしている人も何人かいるから、留守番しててくれって主将に言われてるんだよね」
でも大丈夫だろうか?抽選会には何かしらのトラブルがありそうなんだよね。今までも色々あった気もするし……。
「私達はシードだから、1回戦は免除扱いになる訳だけど……」
「どこと当たるかなぁ……」
「梁幽館や、柳大川越、美園学院、咲桜とは避けたいわね……」
「夏大会の成績を考えると、1番可能性が高いのは梁幽館と柳大川越になるね。美園学院と咲桜はシードだから、少なくともベスト16までは当たらないから……」
ちなみに今年の夏大会の抽選会は主将と芳乃さんで行っている。
(願わくばまだ試合した事のないところと当たってほしいところだね……)
対戦校の今後のデータを得やすくする為……なんて二宮みたいな理由だけどね。
「あっ、キャプテンと芳乃ちゃんが帰って来たよ!」
「わ、私達はどこの山に入ったんですか!?」
め、滅茶苦茶食い気味じゃん……。そこまで抽選結果が気になるの?
「私達はAシードで、初戦の相手は深谷東方高校だよ!」
深谷東方と言えば去年の秋頃からエースとして君臨している松岡さんがいるチームだ。松岡さんは数々の実戦の成果なのか、球速だけで言えば熊谷実業にいた久保田さんや、柳大川越の朝倉さんよりも上なんだとか……。
「深谷東方……」
「エースの松岡さんを中心に力を付けてきてるチームだね!特にエースの松岡さんは凄いよ!」
芳乃さんがやや興奮気味に松岡さんについて語ろうとしている。戦術面の話とかで二宮と気が合いそうかもね……。
「そ、それは後で聞くとして……。深谷東方に勝ったその次は……?」
私達新越谷が初戦を勝ち抜くと次に当たるのは……!
「あ、相変わらずキャプテンのクジ運は芳しくないですね……」
「も、申し訳ない……」
私達の山は順当に勝ち抜けば決勝で美園学院、準決勝で咲桜、準々決勝で柳大川越、そして……。
「……まぁこれも運命なのかも知れないね」
「そう割り切るしかないのかしら……」
深谷東方との試合を制した新越谷が当たる高校は……。
「梁幽館……高校」
配置全体的にそうなんだけど、私達がいる山は去年の夏大会とほぼ同じなんだよね……。
「夏大会、頑張ろうねっ!」
「……そうだね」
この時はまだ知らなかった。地獄の合宿を経て隙が少なくなった雷轟が、野球人生で1、2を争う絶不調期に入るカウントダウンがこの夏大会で突入した事を……。
そしてあの2人がこの夏に大きな衝突を起こす切欠になる事を……!
朱里「お知らせがあります」
遥「聞きたくないっ!」
朱里「……今回で私達視点の話は一旦終了します」
遥「あーあー!聞こえなーい!!」
朱里「次回からしばらくの間は前に言ってた通り、遠前高校視点になりますので、原作キャラを見たいという読者の方々は2、30話くらいは読み飛ばしてください」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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見たい
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見たくない