1回裏。4対1で私達がリードしているけど、流れが向こうに行っちゃってるんだよね……。
「4番、5番と一昨年に活躍した2人が続く。黒澤とは違って2人共パワーヒッターだから、甘く入るとホームランを打たれかねない」
「そんな打者相手にストレートだけで大丈夫なん?」
「一塁は埋まってるけど、最悪敬遠も視野に入れた方が良い……」
「その辺りもどうするかはバッテリー次第だよ」
「……この局面はどうするのかしら?」
「1点取られてワンアウト一塁……。リードは3点残ってるから、4番は相手取っても良いって思ってます。由紀先輩はどう思いますか?」
「私は貴女のリードに従うまでよ。今日の試合の大きな目的の1つとしてロニエ……貴女のリード力が試されているの」
「私の……」
「天王寺先輩からは終盤に入るまで私はストレート1本に絞って投げるように言われているわ。だから現状で大切なのはどの打者に対して、どのコースに投げるか……よ」
「どの打者に対して、どのコースに投げるか……」
「今日の試合は今日しか出来ない……。自分にとって後悔しない選択をしなさい。投手を引っ張るのも捕手の役目よ」
「……はい!」
「そういえば天王寺は相手チームの1~5番のデータを持ってるみたいだけど、バッテリーには伝えたの?」
「……いや、敢えて渡してはいない。ロニエには捕手として考えなきゃいけない打者の苦手であろうコースを自らで導いてもらう。ちょっと荒療治だけど、次の大会までの短い期間で出来るだけ実力を底上げしてほしいからね。由紀にはその手伝いをお願いしてる」
「手伝いって?」
「主にロニエの判断力が試される試合になるからね。由紀はロニエの考えるリードのまま投げてもらうつもりさ。それで相手打線に対して痛打されるようなら、試合の後に反省会になる」
「仮にここで夢城姉が打たれ続けたとしても、アラベルに反省の機会を作る良い機会って事……」
「志乃ちゃんはロニエさんにどんな事を教えたの?」
「私が今日までの間に教えたのはあくまでも基本的な事だけ……。あとは想定外の事態に陥った時に必要なのはアドリブ力だけって言っておいた」
アドリブ力……。私の球を捕ってた娘達はほとんどキャッチングだけでなんとかなるって向こうにいた時に監督が言ってた。
投手側もただ捕手の言う通りに投げる投げるだけじゃ駄目で、投手側も捕手を支えなくちゃなんだけど、この試合においては捕手の力を試す名目で由紀ちゃんはロニエさんに任せっぱなしにしてるみたい。
カキーン!!
「ああっ!?」
「ホームランを打たれた……」
「今ロニエが指示したコースは松浦が得意としてる低めの球だったな。加えてストレートしか投げないんじゃ、あのように掬い上げて持って行かれる……」
「あれは洛山の非道がよくやる打ち方……。これで次の打席で松浦を抑える術を見つけなきゃいけない」
「その通りだ。ロニエには今の一打に対する解答を見付けないと、松浦の相手をするのは厳しくなる」
(そしてそれは対浦の星の今後の対処に繋がる事もある……。もしかしたら次から浦の星と対戦する事になれば、その時はロニエをスタメンマスクにするのもありかも知れないな)
1点返されてからのツーランホームラン……。流れは向こうに傾きつつあるし、折角のリードがなくなっちゃうかも知れない。でもこの試合はイーディスさん、アリスさん、ロニエさんの3人を中心とした全体の練習の成果を見る為のもの……。勝ち負けよりも大切なものがある。
(私も試合に出たい気持ちはあるけど、今は皆の応援、そして皆の動きのチェックに気を配らないとね……!)
ピンチは継続してるけど、皆頑張ってね!ピンチは継続してるけど!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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