最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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狂気

「さて……。特別練習メニューに選んだ数人は恒常練習外部終わり次第、別個で呼んでいくから、楽しみにしているが良い」

 

特別練習メニューに割り振られた私達は後に別で練習があるみたい……。どんな練習なのか楽しみ半分、畏怖半分……といったところかしら。

 

「それと今から海に浸かるからな。全員、汚れても良い水着に着替えておけ」

 

(水着……?)

 

洛山からもらった招待状の中に記されていた持ち物欄には汚れても良い水着、ジャージ等があった。ここの練習で使うのかしら?一応もう着なくなるかも……と思った水着とジャージを持っては来てるけれど……。

 

「さて……全員着替えたようだな。本来なら今いる島まで泳がせる予定だったが、昔に比べて簡単に問題になってしまう……。だからギリギリそのラインを越えないように、わざわざ遠泳の項目を消してやった。時代に感謝するんだな」

 

「私と大豪月さんなんかこの島まで泳がされたんですよね~」

 

「まぁそれも10年以上前の話だがな」

 

非道さんと大豪月さん……という人は10年以上前にこの島まで泳いだみたい。こんな荒れ具合が尋常じゃない海で遠泳……それも非道さんの年齢から逆算すれば最低でも7、8歳の子供がまともに泳げる訳がないわ。下手をすれば死んでしまうもの……。

 

(それをこなした非道さん、そしてまだ会った事はないけれど、大豪月さん……。彼女達は一体何者なの?)

 

そういえばエルゼちゃんとリンゼちゃんを洛山にスカウトしたのはその大豪月さんだと言っていたわね。2人に聞けば大豪月さんの事が少しはわかるかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水着に着替え終わった私達はボートに乗って少しした所で待機している。

 

「それでは地獄の練習メニューその1を発表する……!」

 

(水着で出来る練習は限られている……。一体何を?)

 

「さて……地獄の練習メニューその1はまずこのぶら下がっているロープに登ってもらう」

 

社長の目線に合わせると、そこには無数のロープがぶら下がっていた。こ、これに登るのかしら?

 

「さぁ始めろ!」

 

社長の掛け声によって私達はロープに登り始めた。中々大変ね。並々ならぬバランス感覚が必要みたい。

 

「こ、これ結構キツいかも……」

 

「バランス取るのが大変……」

 

(でも登るだけなら、そんなに難しくないわね……!)

 

「あはは!これ楽しーい!」

 

「なんか木登りをしてる気分になるわね……」

 

「こんな不安定な木登りなんてないわよ」

 

中にはこの修練を楽しんでいる人もいるみたい。あそこまでポジティブになるのは無理にしても、悲観する訳にはいかない……という精神は大切だわ。

 

「や、やっと登れた……」

 

「これで全員……かな?」

 

私達13人は途中で落ちずに、なんとか登り切った。あとは降りるだけ……?でもそれなら地獄……とまではいかないと思うのよね。

 

「ほう?登るだけなら、然程苦戦はしないという訳か……」

 

「もちろん!私達だって毎日厳しい練習してるんですよ!」

 

遥ちゃんが豪語する。ロープにぶら下がっている状態だと格好が付かないのがもったいないポイントよね……。

 

「成程な。だが本当の練習はこれからだぞ?」

 

『えっ!?』

 

やはりロープに登るだけではなかったのね。ここからどんな練習が待っているのかしら?

 

「ま、まだあるんですか!?」

 

「当然だ。ただロープに登るだけなら、中学生でも出来る。言っただろう?まずぶら下がっているロープに登ってもらう……と。登ってそれで終わりだとしたらとんだ甘ちゃん共の集まりだな」

 

社長の発言……色々と大丈夫かしら?後で問題にならないか不安だわ……。

 

「練習メニューその1は両腕でぶら下がり、その体勢で耐え抜くもの……通称鯉のぼりだ。30分間ぶら下がった状態でいてもらうぞ」

 

社長に言われて、私達はそのまま両腕でぶら下がるけれど……。

 

(………っ!)

 

(き、キツい……!)

 

この体勢は中々の筋トレになりそうね……!

 

「先程までに比べて段違いにキツいと思っているだろう……。この練習は両腕の筋肉、持久力、忍耐力を鍛えるものだ。ちなみに去年の秋頃に洛山野球部の部員達の中で半数以上はこの練習をクリアし、それ以外の者達は再びこの島に訪れ貴様達と同じようにこの練習メニューをこなしている」

 

洛山野球部の半数以上……時期的にエルゼちゃんとリンゼちゃんはいないにしても、清本さんや非道さん、黛さんなんかはきっとその半数以上に入っているわよね。

 

「ちなみにもしも誰かがその洛山部員達と同じように力尽き、海に落ちてしまった場合はどうなるのですか?」

 

質問をしたのは二宮さん。そんな二宮さんはこの練習を行っている面子の中でただ1人、表情を変えずロープにぶら下がっている……。

 

(二宮さんの精神力は異常ね……。他の人達は大なり小なり表情を歪ませているというのに)

 

「仮に貴様達が途中で力尽きて海に落ちた場合は……貴様達に『根性無し』の烙印をくれてやろう。洛山野球部の部員達は年に1回、一部の連中は年に2回はこの島に訪れては私の地獄の練習メニューをこなしている……。貴様達のような甘ちゃん共がどこまで粘れるか見せてもらおうか?」

 

甘ちゃん……?私達だって苦しく、辛い練習を乗り越えているのよ?その言葉はいただけないわ!

 

(一部の連中の表情が引き締まったか……。やはり中々骨のある連中が集まっているようだな)

 

「あと25分だ!気張れ愚か者共!!」

 

この25分がとても長く感じるわね……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そこまで!!」

 

どうやらようやく終わったみたい……。こんなハードな……というか正気の沙汰とは思えない練習を洛山野球部の人達はやっていたのね。

 

「お、終わった~!」

 

「腕が千切れるかと思ったよ……」

 

「この縄登りからの鯉のぼりを最終日以外毎日やってもらう。覚えておけ!」

 

社長の発言に何人かは悲鳴をあげそうになっていた。常人ではやろうとは思わないから、社長も狂気側の人間なのは間違いないと思うのだけれど……。

 

(エルゼちゃんから洛山高校に私をスカウトする為に動いていた……という話を前に聞いたのは思い出したわ)

 

あの時の過程が違えば、きっと私も狂気に慣れてしまい、日常と化していたでしょうね。恐ろしい話だわ……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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