最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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合流組と練習

「全員……起床っ!!」

 

時刻は午前4時。社長が大きな声を出して皆を起こさせる。何人かが耳をやられてそうね……。

 

「全員、起きたら顔を洗え。どうしても眠い奴は一発で眠気が吹き飛ぶ魔法の飲み物を用意してある。過剰摂取しない程度に飲んでくれ」

 

(魔法の飲み物……?ああ、エナジードリンクの事ね)

 

よく見ると複数種類のエナジードリンクが沢山あるわね。どこから調達してきてるのかしら……?

 

「洗顔が終わったら、全員昨日着た水着に着替えてね~」

 

「準備が終わったら、早速縄登りからの、鯉のぼりをやるから、精々準備を調えておく事だな」

 

「これが合宿中は準備運動になるからね~」

 

これからの合宿中はこれがルーティーンになりそう……。洛山野球部の人達は毎年こんな事をしてるのね。

 

「全員乗ったな……?では行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボートに乗って辿り着いたのは、昨日私達がぶら下がっていた場所……。そこには既に数人がぶら下がっていた。

 

「け、結構キツいですね。これ……」

 

「ら、洛山の人達は毎年こんな事をやってるのね……!」

 

そう言うのはエルゼちゃんとリンゼちゃん。慣れないとかなりキツい練習だもの。仕方ないわ。

 

「そういえば2人は合宿に参加するのは初めてだったね。合宿中は何度もやるから、今の内に慣れておいた方が良いよ」

 

対照的に清本さんは涼しい顔でぶら下がっている。清本さんにとっては慣れてしまっている練習なのね。苦痛の顔が一切見えないわ。

 

「か、和奈が平然と言うと、説得力が半端ないわね……」

 

「ですね……」

 

慣れている人と、そうでない人の違いが今の清本さんとシルエスカ姉妹の差なのかも知れないわね。

 

「早朝からこんな事をしているのは、後にも先にも私達くらいでしょうね……」

 

「で、でもこれが終わったら夜子の作ったご飯が食べられるし、頑張っていこうよ。朝海姉さん!」

 

その隣でぶら下がっているのは世界大会でお会いした三森夜子さんの姉妹ね。彼女達もこの合宿の参加者なのは昨日の会話でわかっていたけれど……。

 

「夕香……。そうね。私達は料理が出来ないし、夜子がいなければ、食生活が歪みそうだから、私達はここに着いて来たのよ……!」

 

「三森3姉妹の絆は永遠に不滅!」

 

(これは美しい姉妹愛……なのよね?)

 

夜子さんの作る食事を糧に生きていそうにも見えるのは気のせいで良いのよね……?

 

「そこまで!!貴様達はこれから朝食だ。食後の練習に備えてたらふく食っておけ!間違っても吐くんじゃないぞ?」

 

『はいっ!!』

 

先にぶら下がっていた5人はぶら下がるのを止めて、その内の3人……三森さん達と清本さんは島まで泳いでいった。こんな荒波を泳いでいくなんて……。

 

「彼女達は2度目だから、ああして泳いで島に戻っている。もしも貴様達がこの合宿に再び参加したいというM体質の持ち主だったら、次回以降はああして泳いで島に戻ってもらうぞ!」

 

社長は笑顔でそう言っているけれど、決して笑顔で言う内容ではないわよね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を済ませた私達はジャージに着替えて、次の練習へ。

 

「この練習メニューが終われば、野球の練習に入るぞ。気張れ!」

 

『は、はいっ!!』

 

(この後はいよいよ野球の練習ね……!)

 

これまでは凡そ野球とは無縁の練習だったもの。まぁ確実に基礎能力が上がっていっている手応えがあるのもまた事実だけれど……。

 

「……それで諸君にはこれ等を運んでもらう。野球の練習をする野球場までな」

 

そう言って社長が見せてきたのは……大量の丸太?

 

「これを運ぶって……相当重そう」

 

「でもこれが終わったらいよいよ本格的に野球の練習が出来ます。頑張りましょう」

 

「よーし!頑張って運ぶぞ~!」

 

でも相当の量よね。野球場までかなり距離があるみたいだし、野球場に到着する頃にはくたくたになりそう……。

 

「待て。誰が手で運べと言った?」

 

『えっ!?』

 

手で運ばなければどうやって運ぶのかしら……?

 

「そこの3人を見本に運べ」

 

3人……というのは夜子さんを除いた三森姉妹と清本さん。3人は四つん這いになって、背中に大量の丸太を括ったロープを括り付けていた。なんだか馬みたいね……。夜子さんも黙々と運ぶ準備をしているみたいだし……。

 

「こ、これで運ぶんですか……?」

 

これを指しているのは四つん這いで進んでいる三森3姉妹と清本さん。

 

「夜子の料理を食べた私達は無敵よ。今ならなんだって出来るわ」

 

「そうだね。夜子の料理を食べて力倍増よ!」

 

「姉さん達は大袈裟……。あれくらいなら家でも毎日作ってるから」

 

「何を言ってるの。夜子の料理は日々成長してる……。今日の朝に食べたトーストも絶品だったわ」

 

「そうそう。夜子はもっと自信持って料理してよね!美園学園野球部の皆も夜子の料理に中毒になってるんだから」

 

「それも大袈裟……。でも私の料理を美味しく食べてくれる皆を見てると、もっと美味しい料理を作りたくなる」

 

練習そのものは凄い光景なのに、運んでいる彼女達からはそんな雰囲気を感じない、のほほんとした雰囲気だった。

 

(でも夜子さんの気持ちはなんとなくわかるわ。これは料理を作る上で1番大切なのよね。料理を食べてくれる誰かが美味しそうに食べてくれる……。その為に料理をするんだって)

 

本当に、私も夜子さんに料理を教わろうかしら?

 

「……話を戻して、これが第2の練習メニューだ。名付けて人間輓馬だ!」

 

輓馬……ってあの輓馬よね?馬力ではなく、人力であの大量の丸太を運ぶのかしら?

 

「ロープが食い込むし、丸太が重い……!」

 

「言っておくが、これでもまだ優しい方だ。貴様達が男だったらこれの倍以上はキツい練習メニューが待っていたぞ?良かったな。女として生まれて」

 

私達が女性だから、この程度で済んでいる……そう社長は言った。もしも私達が男性として生まれていたら……なんて、考えるのも恐ろしいわ。

 

「ふんぬーっ!」

 

「気合いで切り抜けるわよ。前回と同じように」

 

「他の人に比べたら私達と清本和奈はまだ慣れてるけど、この人間輓馬は結構キツい……」

 

先頭を這ってるのは三森3姉妹達。その後ろに由紀ちゃんが黙々と着いて行き、私とユイはその約1センチくらい後ろを追い掛ける。これも慣れの問題なのよね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『つ、着いたーっ!!』

 

全員が目的地の野球場へと辿り着く。ここまでで本当に疲れた……という人も少なくはない。でも……!

 

「よくぞここまで来たな。少し休んでから、練習……。そして昼休憩が終われば……貴様達の今の実力を見てやろう」

 

(ようやく野球の練習に入るのね……!)

 

多分現時点での私達の成果を確認するものだと思うし、それを存分に発揮していきたいわ……!

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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