最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

1528 / 1797
天才と呼ばれる初心者

1回裏は4点を取って終了……。黛さんのギアも上がったようにも見えるし、ここから追加点を取るのは難しいかも知れないわね。そして2回表。先頭打者は……。

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

(清本さん……。この中で1番小柄にも関わらず、この中で1番のスラッガー。練習試合の時にも見せた素早いスイングから放たれる凄まじい打球……今の私には出来ない芸当だわ)

 

でもそれもあくまで現時点での話……。清本さんの放つ高速スイング……社長が覇竹と呼んでいたスイングも今の特別練習で私にも身に付く。この試合で……必ずヒントを掴んでみせるわ!

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

由紀ちゃんが投げているフォーム……鉞投法と呼ばれるそれは大きく足を上げ、振りかぶった影響で球の握りがわかってしまうという唯一にして最大の弱点がある。清本さんもきっとそれを狙う筈……。

 

「…………」

 

(でも由紀ちゃんはそれをわかった上で、今のフォームを継続している。それは天王寺先輩に言われたから……というのもあるけれど、本人が1番その型にはまっているのが理由なんでしょうね)

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

「流石清本さんね……。由紀の……鉞投法の弱点にもきっちりと対応していってる」

 

「弱点?」

 

「そう……鉞投法の唯一にして、最大の弱点。それを清本は見極めて打ってるんだよ」

 

「その弱点って……?」

 

「鉞投法の弱点は投げ手を地面スレスレまでに下ろした時に見える球の握りですね。和奈さんだけでなく、これからの相手チームはその握りを見極めて打つつもりです」

 

「その通りよ。でも由紀はそれをわかった上で、あのフォームを続けているの。全ては打たせて取るピッチングの為に……」

 

ユイの言うように、由紀ちゃんは遠前高校野球部の為に打たせて取るピッチングを続けている。多分天王寺先輩が渡り合っている様々な高校でも似たようなやり方で野球部を大成させたのだと思う。

 

(それでもこのままストレートばかりを投げていても、清本さんには通用しない……!)

 

由紀ちゃんはストレートに加えてもう1つ……彼方先輩に教わった変化球がある。清本さんを確実に抑えるにはそれを投げる他ないと思うのよね……。

 

(いくわよ。精々溢さないように、気を配りなさい)

 

(えっ?あの握りは……!?)

 

由紀ちゃんの新しい決め球……彼方先輩が投げていたナックルボールを!

 

(ふ、不意に来るナックルはカットし切れないよ……)

 

 

ガッ……!

 

 

『打ち上げた!?』

 

「私の今の決め球……例え『わかっていたとしても』、簡単には打たせないわ」

 

『アウト!』

 

今のナックルは間違いなく彼方先輩のナックルそのもの……いえ、これからの事を考えると、間違いなくそれ以上の球になるわね。

 

(これでつい数ヶ月前までは野球未経験者だなんて信じられないわ。鉞投法とナックルボール……。常人なら幾年もの時間を費やしてようやく物に出来る代物なのに、由紀ちゃんはほんの数ヶ月……ナックルに至ってはまだ一月ちょっとであのレベルにまで到達してるんだもの)

 

最早センスだけでは辿り着けない領域に由紀ちゃんは立っている。間違いなく天才よね。

 

(もしも由紀ちゃんがプロ野球選手になる事を視野に入れているのなら、何れ私の前に立ちはだかる強力なライバルになるのは確定ね)

 

その後5番、6番と由紀ちゃんはストレートとナックルを使い分けて、連続して打ち取る事に成功した。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。