地獄の合宿も2日目が終わろうとしている。そんな中、私はある光景が目に入った。
ズバンッ!
「……また変化球のキレと変化量が増しましたね」
「まぁこれを捕ってくれる奴はまだ大学にはいないがな。その点おまえは難なく捕れるから、私としても助かる」
あれは……二宮さんと神童さん?
「神童さんの変化球を捕ってくれる捕手が入ってくれると良いですね」
「どうだろうな?案外二宮が私達がいる大学に入るまではそういう相手に廻り合わないかも知れん。非道も捕れるかわからない……と言っていた訳だし」
「そうですか……」
(なんだかとんでもない話を聞いた気がするわ……)
二宮さん程の捕手ならプロ野球のスカウトが放っておく訳がないと思うのに、二宮さん自身は大学進学を予定していて、しかもそれが大豪月さんや神童さんと同じ大学に行く事が決まっているだなんて……。
「ん?そこにいるのは……上杉か」
あっ、私に気付いた。
「お疲れ様です。上杉さんは休憩ですか?」
「ええ。一応ね。そう言う二宮さんは……」
「二宮には私の投球練習に付き合ってもらってたんだ。二宮程投げやすいと思える奴はそういないからな」
天王寺先輩達から要注意選手となっている神童さんにここまで言わせるとは……。流石は二宮さん……といったところね。
(……折角神童さんと話す機会が出来た事だし、1つお願いしてみようかしら?)
「あの……。実は神童さんにお願いがあるんです」
「お願い?どんなお願いだ?」
「私と……1打席勝負をしてほしいんです」
「ふぅ……。少し休憩にしようかな」
「私も休憩するわ」
試合の後に私と早川さんは特別練習メニューを海辺で行っている。今は石もなくなったので、少し休憩に入るところだ。
「ウィラードさんはこの練習、完遂出来そう?」
「どうかしらね……?今の状態が進んでいるのかもよくわからないわ」
社長が言っていた水切りを20回連続……ってのはかなりハードルが高い。現状でようやく15回連続で水が跳ねるようになったところだけど、あと3日(正確には2日と数時間)で完遂が出来るのかは全然わからないわ……。
「早川さんはどう?」
「私も……これが終わるのかもよくわかっていない。でも母さんがやっていた練習だし、私は母さんに負けないような投手になりたいと思ってるよ」
私と早川さんは互いに早川さんの母親である早川茜さんを理想の投手像として野球をしている。尤も早川さんの方はつい最近にその想いが募ったみたいなんだけど。
「……とりあえず石を拾いに行こうかな」
「そうね。ついでに野球場の様子を見に行きましょう」
そういえば真深は雷轟さんやバンガードさんとは別行動しているみたいだし、その様子も気になるわね。
私と早川さんが野球場に来ると、とんでもない光景を目にした。
「はぁ…はぁ…!」
「次で30球目ですね」
「キリが良いし、次の1球で最後にするか」
グラウンドには息を切らしている真深と……。
「こ、これは一体……」
今日の試合で私達のベンチに合流した神童さん……だったかしら?が平然とマウンドに立っていて、二宮さんが神童さんの球を受けていた。早川さんも困惑しているけど……。
(な、何があったの!?)
「真深っ!?」
あの真深が疲弊している様子を見せるなんて……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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