合宿4日目。今日と明日で合宿が終わるのね。長かったような、短かったような……そんな不思議な感覚があるわ。
(人間がするとは思えない……下手をすれば人権すらもあるか怪しい練習だったものね)
まさに地獄の合宿とも呼べる内容の中でも何故か微笑ましく思えてしまう時点で私も向こう側に染まっているのかも……。
「諸君、今日この時までご苦労だった!地獄の合宿の最終工程……『地獄の封鎖野球』を行う!」
『じ、地獄の封鎖野球!?』
(……って何をするのかしら?)
「封鎖野球の概要は後に伝えよう。まぁ一風変わった試合だ」
結局よくわからないままね。
そしてオーダー決め。
「……はい」
しばらくの沈黙の後に挙手をしたのはこの遠前、新越谷、白糸台の中で唯一の3年生である川原さん。
「このまま悩んでいたらその時間がもったいないっていうのは、前の試合でわかったから……。でもエースの力を見せるにはまだ早いと思うんだ。ヨミちゃんにしても、朱里ちゃんにしても……。だから、私が投げる」
(この人はヨミや早川さんを本当に評価しているのね)
良い先輩に出会ったわね。新越谷も……。
そして組まれた打順は……。
1番 セカンド 佐倉日葵さん
2番 ショート 佐倉陽奈さん
3番 ファースト バンガードさん
4番 レフト 私
5番 サード 遥ちゃん
6番 ライト 三森朝海さん
7番 センター 三森夕香さん
8番 キャッチャー 珠姫
9番 ピッチャー 川原さん
(大きく変わってはいないわね。上位5人が同じだわ)
またしても4番として私は起用された。4番としての責務を果たせるかしら……。
(恐らくこの試合の大まかな目的は合宿の成果……特に特別練習メニューをこなしている私達の成果を見る為のものよね)
「フム……。両チームのオーダーが出揃ったところで、試合開始だ!!」
社長の合図で試合開始。今度はこっちが先攻ね……!
「先制点GET~♪」
あっという間に先制点獲得。1番の佐倉日葵さんが三塁打を放った後に、ノータイムでホームスチールの動きを取り、2番の佐倉陽奈さんによるヒッティングで日葵さんがホームインをした……という白糸台にとっては最早定番とも言われるらしい得点の取り方だ。
「あ、相変わらず日葵ちゃんの走塁はヒヤヒヤするね。もしも陽奈ちゃんの打った打球がノーバンで捕られてたらどうしてたの?」
「え~?陽奈お姉ちゃんはそんな凡ミスしないよ!日葵はお姉ちゃんを信頼してるからね♪」
(これが佐倉姉妹の野球……。洗練された野球と、信頼し合っている野球を行うのがこの姉妹。白糸台の中でも1番と2番で固定されているのも納得だわ)
味方だと頼もしいのに、敵に回ると厄介極まりないわ。
「ここで試合を一時中断する!」
バンガードさんが張り切って打席に入ろうとした瞬間に試合中断。何かあるのかしら?
「新越谷、白糸台、遠前の連合軍が得点した事により、封鎖野球のルールが発動される」
(試合前の封鎖野球の意味がいよいよ明かされるわね……)
「説明しよう。封鎖野球とはその名前の通り、相手チームの選手、そしてポジションを封鎖する。発動条件は先程言った得点時だ。1得点につき失点側の選手を1人選択、そいつには2つで1キロの重りを装着して野球をしてもらうぞ」
淡々と述べる内容ではないわね……。控えめに言っても可笑しいもの。
「そしてこれから貴様達が封鎖し合う箇所は野球選手にとって要の部位となる腕(打撃と投球)と足(走塁と守備)……。この2つを潰し合ってもらう!」
(腕を封鎖する事によって打撃と送球に、足を封鎖する事によって走塁と守備に確実な影響を与える訳ね……)
しかもこれが真に発揮されるのは恐らく試合の後半……。点が取れるのはもしかしたら今の内だけなのかも。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない