私は大竹を持って海辺へと向かっている。
(今日の試合……遥ちゃんも早川さんも凄かったわね)
遥ちゃんは清本さんが見せた目にも止まらぬ高速スイングに似たもので黛さんの球を打ち、早川さんは海上水切りの成果が出ているのか、とんでもない球を投げた。
(今の私が……あの球を打てるのかしら?)
……いえ、考えるのは止めましょう。心を無にして、大竹に付いている葉を全て落とす為に、素振りをしなきゃ。
「ふ、2人は何者なんですか!?」
(この声は……遥ちゃん?)
私達がこの島の特別練習をしている海辺に遥ちゃん、早川さん、そして大宮さんと響さんがいた。
(お、思わず物陰に隠れてしまったわ……)
でも中々興味深い質問だわ。大宮さんと響さんについては気になっていたもの。
「……その質問の意味を聞いて良い?」
「2人は突然私達の前に現れました。朱里ちゃんが言ってたんですけど、この島に来るなら船とかの移動手段とかも見当たらなくて、どうやって来たのかなって。それに……」
「それに……?」
「大宮さんの守備の動きを見た時に思いました。手足に合計2キロの重りが装着されていたのに、軽々と動いていたもので……」
遥ちゃんの言うように常人ではありえない動きを見せていたから、気になるのよね。どんな練習をすれば、あんなプレーが出来るのかを……。
(それにあの2人の場合はそれだけではない気がする……)
幾千幾万の修羅場を潜り抜けた戦士のようなオーラも感じるから、いよいよ人間離れしている……人ならざるものなのではないかって……流石に考え過ぎよね?
「あの程度の事が出来ないと黒獅子重工の1軍に昇格する事は不可能よ」
「えっ?じゃあ黒獅子重工の1軍選手は全員大宮さんみたいな動きが出来るんですか?」
「そうね。人によって差違や限界はあるけれど、あれくらいの動きなら1軍選手全員が出来るわ。社長を含めてね」
(成程……。以前二宮さんが言っていた中で黒獅子重工の1軍メンバーの選手達が人間離れした身体能力の持ち主が集まっている……という話があったわね)
社長が選手である事も結構な衝撃を受けたけれど……。あの人っていくつなのかしら?それも少し気になる……。
「……今から話す事はとても信じられない事だと思う。それでも聞く?」
何を……話すつもりなのかしら。ピリッとした空気が辺りを纏ってる……。
「は、はい!」
「き、聞いてみたい……です」
盗み聞きという形になるけれど、私も気になっていたし、下手に動けば私の存在がバレるかも知れないもの……って別に隠れているつもりはないのよ?
「じゃあ話すね?私と未来は……」
大宮さんの話が終わってしばらく……。私は立ち尽くしてしまっていた。
(別世界……。一体どんな世界を生き抜いたら、あんなオーラが出せるの?)
私なんかでは到底及ばない……。遥か高みに大宮さんと響さんがいる。他の黒獅子重工の選手達も1軍メンバーは皆大宮さんと響さんのような別次元の存在が沢山いる……という事よね?
(だからといって腐る訳にもいかないわ……!私には私の野球道があるんだもの。そうと決まれば練習ね!)
私は立ち上がって、海辺へと歩いて行った。
なお大宮さんとすれ違った時に……。
「さっきの話は他言無用でね?」
……と苦笑いをしながら口に人差し指を当てて、そう言われた。盗み聞きしていたのがバレていたのね……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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