「いきなり取られちゃいましたねー。先制点」
「正直この1点は滅茶苦茶いてーが、こっちもこっちで守備練しなくちゃならねェからなァ……!」
(ただ……このまま打たれっぱじゃつまんねェのも事実。どのみち後半には試す予定だったが……)
「花形ァ!星ィ!」
「「ッス!」」
「予定より早いが、肩ァ作っておけ!」
「「了解ッス!」」
「伴!」
「はいー」
「花形と星の肩作りに付き合ってやれ!」
「わかりましたー」
(上杉真深にウィラード・ユイ……。この2人を見せてくれた礼もきちんとしてやるからなァ)
木製バットを持った真深ちゃんが打席に立った瞬間、辺りがピリッとした。
(これが地獄の合宿を乗り越えた証なんだ……!)
さっきのユイちゃんも同様の圧を感じたし、もしかしてベンチで亜紀ちゃんと一緒にゴロゴロしている由紀ちゃんも……?
「先制点を取ったわね」
「あとはユイが0点に抑えれば完璧ね」
う~ん。あるのかなぁ?せんべい食べながらベンチで談笑してる(相変わらずの無表情)し、よくわからないよ……。
カキーン!!
わっ!木製の良い音がした。打球はそのまま場外へ……。
「やったやった!」
「これで3点リードね!」
明美ちゃんとイーディスちゃんが抱き合って真深ちゃんのホームランに喜んでいる。私もチームメイトの活躍は嬉しいんだけど……。
(次に真深ちゃんと対戦する機会があったら果たして……私は今の真深ちゃんに勝てるのかな?)
その時にならないとわからないから、今はチームメイトの活躍を喜ぼうかな。やったね真深ちゃん!
「い、いきなり3点取られちゃったよ!?美鈴ちゃん!」
「まぁまだ1回。私達3人が力を合わせればきっと巻き返せるさ。嶋田キャプテンも言ってたしね」
「美智瑠の言う通り、私達が出てからが勝負だよー」
「でも翠ちゃん、今日は私と美鈴ちゃんのどっちが投げる事になるの?」
「さあー?嶋田さんの指示次第かなー?念の為に2人に肩を作ってほしいって嶋田さんも言ってたし、試合展開によるんじゃないかなー」
(社長からもらったこのバット……とても軽くて使いやすいわ)
練習で振ってた大竹がとても重かったのに対し、社長からもらったこのバットはとても軽い……。重い竹を速く振るのに慣れてから、この超軽量バットを使う事によって本当にギリギリまで球を見定めても、間に合う事が出来るようになった。これが……特別練習メニューSの成果なのね。
「ナイバッチ!真深ちゃん」
「ありがとうございます」
「早速成果を見せてきたわね」
「ええ。次はユイの番よ」
「任せなさい。完全試合を決めるつもりで投げるわ!」
ユイも早川さんと同じ練習をする事によって、ワンランク上の実力を付けているのは間違いない。この試合で……それがわかる事になるのよね。
(今頃早川さん達も練習の成果を試している頃かしら?)
ヨミや早川さんの話によると、新越谷は紅白戦が出来る程に部員が集まっているらしく、毎週末には紅白戦を行っているそうだ。私達の場合は人数が18人に満たない代わりに、色々な高校と練習試合をしてる訳だけれど……。
ズバンッ!
「ナイスボールー」
向こうのベンチでは先程自己紹介をした星さんと花形さんが交互にブルペン捕手に投げ込んでいた。
「やはり花形も投手をやっていたか……」
「じゃあ嘘を吐いてたって事?」
「そうでもない。中学時代までのデータでも花形は本来ファーストの方が守っている回数は多いからね」
「……何れにせよ、中盤くらいにはどっちかが投げそう」
志乃先輩の言う通り、何れかはあの2人のどちらがこの練習試合で私達に立ちはだかる事になる……。一体どんな球を投げるのかしら?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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