もうすぐ夏の大会が始まるある日。この日は私達が初戦に当たる深谷東方高校の偵察に行こうという話だったんだけど……。
「……それなら良い物を持ってきた」
こういう事を想定していたのか、猪狩さんが通学用の鞄とはまた別のバッグを取り出した。どうやら部室に置いていたみたいだけど……?
「えっと……。それは?」
皆が気になるであろう、猪狩さんがバッグから出した物は……。
「ドローン」
『……えっ?』
私達全員の声が1つになる。なんでそんな物を……?
「このドローンに小型カメラを設置して、目的地を深谷東方高校のグラウンドに設定して……」
ちょちょちょ!何をしれっととんでもない事をしてるのこの人は!?というか……。
「よくドローンなんて持ってたな……」
「さる方からもらいました。その人曰く機械弄りが趣味で、このドローンも通常のやつよりもかなりハイテクらしいです」
た、確かになんか目的地設定とかしちゃってるもんね。しかも遠隔操作のオマケ付き……。
「あとはこれを操縦するだけ……。偵察は空からだと、西東京在住のNさんも言ってた」
それ多分二宮だよね?二宮もドローンとか飛ばしてるの?
「遠隔操作するのは凄いけど、どうやって操作してるのがわかるの?」
「それはこの画面を駆使して頑張る……」
そう言って猪狩さんが取り出したのはタブレット端末くらいの端末を取り出して、設置した。
「このドローンを映す用のカメラと、撮影対象を映すカメラを設置して……」
猪狩さんの準備が終わり、猪狩さんが用意した液晶端末にドローンが映る。
「これで深谷東方高校野球部の練習グラウンドを上空から撮影する……」
「ほ、本当にそんな事が出来るの……?」
「一応実験は何度もやってるし、何れも成功しているから、今回も撮影だけなら問題はない。あとは打球が当たらないように上手く操作するだけ……」
さも当たり前の事を行ってる感じだけど、これ普通に凄いよね?ドローンを難なく操作している猪狩さんもそうなんだけど、ドローンを造ったっていう人も凄い。一介の高校生がドローン操縦に慣れているとか……。
「……とりあえず偵察の方はこっちで見れるだけ見ておく」
「じ、じゃあその間は泊ちゃん以外の皆で練習しようか!泊ちゃんにはまた個別で練習メニューを渡しておくね」
「ありがとう」
深谷東方高校の偵察の方はドローンを操縦している猪狩さんに任せる事になったけど……。
(次からは流石に自分達でやった方が良いよね……)
猪狩さんに任せっぱなのも良くないし、猪狩さんの練習が出来ないのも問題だ。それに偵察に行く事で個人が得られるものもあるだろうし……。
「じゃあ今日はここまで!」
『お疲れ様でした!!』
練習が終わったので、猪狩さんの様子を見に行く事に。芳乃さんと主将も一緒に着いてくれるようだ。
「様子はどうだ?」
「……バッチリです。芳乃に言われた松岡さんの投球練習を中心に撮れました」
猪狩さんがドローンで撮った映像には投球練習に励む松岡さんの姿が……。
「凄いな……。ちゃんと撮れてる」
「しかも細かいフォームのところまで……」
「他の主力選手の打撃や守備も撮ってあるけど、そっちはまた編集で別個にするつもり……」
これまたしれっと発言している猪狩さん。もうこれが彼女の天職なんじゃないだろうかと考えちゃうねこれは……。
「あっ、編集は私も手伝うよ!泊ちゃんに任せっぱだと悪いし……」
「……じゃあお願いする」
猪狩さんってクールで一匹狼なイメージがあったけど、割と天然な部分もあったり、今みたいに芳乃さんとのコミュニケーションもバッチリだ。
(どこか春星と似た雰囲気があったけど、春星の方も色んな人と交流してるし、これなら夏が終わってからも心配ないかもね)
深谷東方の偵察の件は猪狩さんと芳乃さんに任せて、私は私で練習しておこう。折角主将が私を9番で指命してくれた訳だしね。
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