『ありがとうございました!』
対深谷東方戦は川原先輩と藤原先輩の継投で完封する事が出来た。
(しかし最後の最後まで松岡さんは試合中に成長し続けてたな……)
その影響なのか、雷轟以外はノーヒット……。打撃方面に課題が出るゲームだった。
「さて……この後は学校に戻って練習ですね」
「それかもう1つの球場で試合を観に行くのもありかもね!」
「もう1つの球場……?」
芳乃さんの言葉にここにいる大半の人が頭に疑問符を浮かべている。まぁ普段はどちらかしか使ってないからね……。
「ここから3駅先にある球場と同時進行で試合が行われているんだよ」
「そうなんだ?でも去年はそんな事なかったよね……?」
「今年は4年に1度も催し物……県対抗総力戦があるからね!全国に視察者が散らばって、選手達の実力を球場で見るんだよ!代表メンバーに選ばれるかどうかを……」
実際は去年から代表メンバーに相応しい1、2年生をチェックしている節はあった。今年は去年と人数にかなりの差があるから、見られてる感が凄い。一般の客に扮してる事が多いみたいだし、去年以上に球場が賑わうだろうなぁ……。
「そのもう1つの球場はどこが試合をしてるんだ?」
「私達とは逆のブロック……つまり決勝戦で当たる予定の高校だね」
「つまり美園学院ね……。去年も園川さんの投げる球と、三森3姉妹の足や連携にはかなり苦戦したイメージしかないわ」
「今年は去年以上に連携が磨かれているだろうね」
なんせ地獄の合宿に参加していたくらいだし……。
「でも今から向かうと流石に試合は終わっているだろうな」
「偵察メンバーを送っておくべきだったかしら……」
偵察といえば梁幽館の偵察が私達の試合を観に来ていたね。その内の1人は橘で、守備の時に目が合っちゃったけど……。
(ん……?メール?)
スマホが震えていたので確認すると、二宮からメールが来ていた。どうやらもう1つの球場の方で試合を観ていたみたいだけど……!?
「嘘……」
「朱里ちゃん?」
「どうしたの?」
「今、二宮からメールが来たんだ。さっき言ってた美園学院の試合結果なんだけど……」
「えっ、何かあったのか?」
私は二宮から来たメールを皆に見せると、全員が驚愕していた。無理もない……。
「美園学院が……」
「負けてる……!?」
4対0で美園学院が敗北したという今見ても信じられない試合結果が二宮から送られて来た。
(しかもそれだけじゃない。美園学院の打線を抑えた投手は……)
「でも聞いた事のないところだぞ?親切高校って……」
「15年前の大会で春夏連覇してからは息を潜めているところだね。でも去年は初戦敗退だったんだけど……」
『あの人』が投げているのなら、美園学院を打ち破っても可笑しくはない。でもそれならなんで去年までは試合に出ていなかったんだろうか……?
「朱里……?」
「あ、朱里ちゃんが何か考え込んでる……」
「朱里がここまで悩むって事は相当厄介な相手なんだろうな」
なんか私が悩む=とんでも相手っていう謎の方程式が出来ているんだけど?
(しかし厄介な相手なのは間違いない。沖田と同じように不規則な変化球を投げ、沖田に変化球を教えた、私達の1つ上の投手……)
一ノ瀬羽矢……。元川越シニアのエースで、全国のシニア内で『選ばれし数字の選手達(ナンバーズ)』と呼ばれる選手の1人だった選手だ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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