試合は進み、初回以降は武田さんも、吉川さんも、打者に対して次々と凡退の山を築き上げた。特に武田さんは高橋さん以降の打者は全員三振に抑えている。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「くぅ……!」
打者が一巡した梁幽館の打線も三振に仕留めている。橘も凄く悔しそうにしているけど、多分1番驚いているのは武田さんの球を捕っている山崎さんだろうね。
(これで3回が終了。スコアは未だに0対1で私達が負けている……か)
というか私達に至っては未だにノーヒットなんだよね……。
「序盤戦は終了。勝負は中盤へと入りましたね」
「友理を三振にしてから、ずっと三振で抑え続けている武田が凄い」
「そうだな。今の梁幽館は去年以上の打力を持っていると言われているが、そんなのお構い無しに武田が次々と三振の山を築いている……。しかしあんな全力で投げ続けていたら、スタミナがもたないんじゃないのか?」
「それなら梁幽館側も終盤付近で武田に付け入る隙が出来る。多分友理もそれを狙おうと試みていると思う……」
(並の投手なら確かに2人の言った通りの展開になるでしょうが、武田さんに限っては話が変わってくる可能性が高いですね。今の武田さんには無尽蔵に近いスタミナが地獄の合宿を経て、宿っているかも知れません。いえ、もしかしたら今の投球ですら、全力ではない可能性も……?)
「凄いよヨミちゃん!あの梁幽館打線に7連続三振だなんて!」
「うん……。点は取られちゃったけど、身体に力が湧いてくる感じがして、それが梁幽館の打線を抑えられているのかも?」
「でも心配だよ。あんなに飛ばして、7イニングもたない……なんて事があったら……」
山崎さんは全力で投げている武田さんに対して、ガス欠の心配をしている。私も山崎さんと同意見なんだけど、武田さんがとんでもない事を言い始めた。
「えっ?まだ全開で投げてないよ?」
『はっ!?』
武田さん以外の全員の声が重なった。
「ヨミちゃん、それは本当なの!?」
「う~ん……。投げようと思えばまだまだギアを上げていけると思うけど、それだとさっきタマちゃんが言ったように7イニングもたないかもだから、6割くらいで投げてるつもりだよ」
『…………』
武田さんのとんでもない発言に私達は絶句した。
川原先輩の投げる球よりもキレていて、藤原先輩のジャイロボールに匹敵する程に球が伸びていて、あの魔球を始めとする変化球が地獄の合宿前とは比べ物にならない程に大きく、鋭く曲がる武田さんの球が……まだまだ全力じゃない事に、驚きを隠せなかった。
(でも武田さんの無意識下で全力を投げさせられている可能性もある……。仮に今の武田さんが本当に6割の力でしか投げていないとしたら、これ以上の力を出させないようにしないとね)
まずは逆転……。なんとかゾーン状態の吉川さんから点を取らないといけないね。
そして……そのチャンスは思ったよりも早くに来た。
カンッ!
「やった!」
「ナイバッチ歩美ちゃーん!」
4回表。先頭の中村さんから連続で繋がり、ノーアウト一塁・二塁のチャンスに。
「逆転のチャンス……!」
ここで新越谷のクリーンアップに突入。まずは3番の春星からだ。これが恐らくこの試合最大のチャンス……。最低でも同点にしたいところだ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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