梁幽館との激闘から翌日。今日は早めに部室に来てあるものを見ているんだけど……。
(……やっぱりあの変化球をどうにかしないと厳しそうだね)
二宮からもらった初戦の親切高校の試合映像。私が見ているのは一ノ瀬さんのピッチングだ。
「あれ?早いね朱里ちゃん」
「おはよう芳乃さん」
いつも1番早くに来ている芳乃さんよりも早く来ている私……。今は練習の1時間前なんだよね。
「何を見てたの?」
「二宮からもらった親切高校の試合映像。本来はもう少し後に見る予定だったんだけど、早く来ちゃったし、折角だからと思ってね」
何故か朝早くに目が覚めたんだよね……。
「……やっぱり朱里ちゃんと同じシニアの一ノ瀬さんは手強そうだった?」
「まぁね。一ノ瀬さん以外には特にこの人……って選手はいないんだけど、全員が高い水準の実力を持ってるよ。打撃も守備も隙がない」
仮に一ノ瀬さんの変化球を上手く捉えられたとしても、バックの固さによって凡退してしまう可能性は高い。
「まぁ親切高校と当たるのは決勝だし、今は目前の試合の事だけを考える事にするよ」
「そうだね。その方が良いと思うよ」
芳乃さんも私と同じ意見だった。今年の埼玉県予選は強豪校はもちろん、ダークホースと呼ぶに値する高校がいくつかある。その筆頭が美園学院を破った親切高校だったりするんだけど……。
「そろそろ皆が来る時間だし、私も練習準備を手伝うよ」
「本当!?ありがとう朱里ちゃん!」
「早く来てやる事なかったしね。早めに終わらせよう」
皆が揃ったところで、今日の練習開始。途中休憩はあるけど、今日は朝から夜までみっちりと練習だし、私としても体力を付ける良い機会だ。
カキーン!!
「飛ばしますねぇ。遥先輩」
「前の試合では良いところがなかったからね。次の試合では頑張りたいよ!」
練習が始まってすぐ。打撃練習でバカスカ打つ雷轟と……。
カキーン!!
「春星の方も遥に負けていない。こういうのは見てて気持ちが良い……」
「ありがとう泊センパイ。センパイさえ良かったら、この後1打席勝負をしてほしい……」
もう一方でこちらもバカスカと飛ばしている春星。この後は猪狩さんと1打席勝負をするみたい。
それで私の方は……。
ズバンッ!
「ナイスボール!」
山崎さんにボールを受けてもらっている。なんか知らないけど山崎さんが立候補したから、別段断る理由がない私はそれを受ける事に。武田さんの方は木虎が受け手に回っている。こんな感じで私と武田さんは相方捕手に調子を確認してもらっているのだ。
「こうしてキャッチボールするだけでも意味があるから、私達としてもまだまだエースの座を諦められないわね」
「そうだね。キャッチボールは野球の基本だけど、良い球を投げる為には必要な事だから……」
「ですね。私達は朱里のお陰で今の立場にある訳ですし、朱里の為にも、そしてもちろん新越谷の為にも貢献しないと……」
藤原先輩、川原先輩、息吹さんの3人でキャッチボール。なんか息吹さんが私を過大評価している気がするんだけど……?
「そろそろ休憩の時間だよーっ!」
芳乃さんの休憩の合図によって、私達はその場にへたり込む。中々ハードな練習だったもんね……。
「では休憩がてら、次の対戦相手についておさらいしましょうか」
そして藤井先生の一言によって、ピリッとした空気が流れる。この空気は相変わらず慣れないや……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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