一ノ瀬さんが少し落ち着いたところで、一旦仕切り直し。とりあえず一ノ瀬さんの紹介を……。
「こちら、シニアの先輩だった一ノ瀬さん」
「い、一ノ瀬羽矢です。一応親切高校のエースをやってます。はぁ……。なんで私なんかがエースをやらなきゃいけないんだろう?いくら人数ギリギリだから、他にも適任がいたと思うんだよね。そもそも野球だってシニアで辞める筈だったのに……」
相変わらず卑屈全開だなこの人……。これ程ネガティブな人を見たのは一ノ瀬さんが初めてだよ。
武田さんと山崎さんの紹介を終えて、いよいよ本題に……。
「……それで?新越谷のエースが私に何の用?」
「えっと……。朱里ちゃんの先輩さんと1度話してみたかったんです!」
成程ね。挨拶がてら少し話してみたかったって訳か……。
まぁ確かに一ノ瀬さん程の実力者なら、県対抗総力戦の代表メンバーに選ばれても可笑しくはない。故に同じく代表メンバーに選ばれる可能性のある武田さんとは最低限コミュニケーション取った方が良いのかもね。
「え……?わざわざそんな理由で私なんかに話し掛けたの?私だったら、隅っこで縮こまってるよ?これが陽キャという人種なの?」
しかし肝心の一ノ瀬さんがこれだ。この人が社会進出する事が出来る日が来るのだろうか?
(あ、朱里ちゃん。この人ちょっと卑屈過ぎない……?)
(まぁそれが一ノ瀬さんだしね。ネガティブの権化というか、とにかく自分に自信がない)
隣の山崎さんも少し引いているくらいだからね。私も自分に自信がない方だと思ってるけど、一ノ瀬さんは別格だよ。
「わ、私は早川とは違って陰キャだし、卑屈だし、バレンタインの日にチョコもらえないし……」
待って?今なんでその話したんですか?武田さんと山崎さんの私を見る目が据わってるんだけど……?
「へぇ。朱里ちゃんってシニア時代からモテモテなんだ……」
「チョコいっぱいもらってるんだ……」
ねぇ。なんで2人共そんなに声が冷たいの?
「は、早川は先輩、同期、後輩とシニアでは人気者だったから……。ああいうのをカースト頂点って言うんだなって……」
多分私よりも金原や友沢の方が人気あったと思うんだよね。友沢の場合は女子人気が高かったけど……。
「ここにいましたか。一ノ瀬先輩」
武田さんと山崎さんに戦慄していると、一ノ瀬さんを呼ぶ声が。
「な、なんでここが……」
「一ノ瀬先輩がミーティングをサボっているのは明白でしたからね。全員から早く連れ戻せと催促がきています」
「わ、私はこれからお腹が痛くなる予定が入っているから、帰らせてもらうね……」
「堂々と仮病宣言をしないでください。早く行きますよ」
一ノ瀬さんを呼んでいる小柄な少女が一ノ瀬さんの首根っこを掴んでいる。中々力持ちだね……。
「それでは新越谷の早川朱里さん、武田詠深さん、山崎珠姫さん。ごきげんよう」
少女は私の方をクルリと向くと、一ノ瀬さんの首根っこを掴んだまま一礼して歩いていった。
「な、なんだったんだろう……」
「それよりも朱里ちゃん」
「な、何かな?」
「さっきのシニア時代の話、もうちょっと詳しく聞きたいな?」
それって一ノ瀬さんについてだよね?バレンタイン云々は関係ないよね?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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