稜桜学園との試合……。1対0で私達新越谷が勝った。しかし蓋を開けてみれば、この試合は……。
「…………」
(完全に猪狩さんが1人で試合を決めた印象が強くなった……)
もちろん私達は……もちろん猪狩さん本人も、スタメン全員の尽力があってこそのあのホームランだった事はわかる。しかし客観的にはどうも猪狩泊の独壇場に見える。これが新越谷野球部にどういう印象を位置付けるのか……それによって私達の見られ方が変わってくる。
「朱里ちゃん、行こっ?」
「ん、そうだね。学校に戻って練習しなきゃね」
「今日はホームラン打てなかったし、飛ばし足りないしで、なんかモヤモヤする……」
「地獄の合宿を乗り越えて、特別な打ち方を編み出したからと言って、段々相手のレベルが上がってきてるし、思うようにいかなくなる……。雷轟自身も成長しなきゃ駄目だよ」
「もちろんだよ!」
思えばこの時……いや、もっと前からなのかも知れない。雷轟が段々と不調期間に突入していっているのは……。
ズバンッ!
「ナイスボール!」
学校に戻ると早速猪狩さんが投球練習に励んでいる。意欲は初心者でも人一倍あるかも知れないね。
「でも泊って一体何者なのかしら……?」
「わかる事は超ベテラン投手の猪狩守選手の姪である事、この部に入るまではずっと壁当てをしていた事、壁当てを長時間継続出来る程の集中力を持ち合わせている事……。これくらいかな?」
「でもいくら超ベテラン投手の親戚だからって、野球センスまで受け継ぐものなのか?親子って訳でもねーし……」
考察すればする程、猪狩泊という人物がわからなくなってくる。
(野球センスがあるとはいえ、初心者である事には変わらない。しかし今日の試合では完全試合を成し遂げた……。これはセンスだけでは誤魔化せない。相手を抑えるという1点に集中して、それが結果を生み出した……?)
「……まぁ泊が何者かはともかく、今日の試合で泊は最高の結果を出した。他の投手陣も泊には負けてはいられないぞ?」
「そうですね……」
主将の言う通り、気にし過ぎても仕方ないよね。あくまでも猪狩さんは猪狩さん。それでも以上でもそれ以下でもない。私は私で頑張らなければならないのだ。
(雷轟がどこか変なのも気になるけど、私は私でそんな余裕はないからね。今は目前の試合に向けて頑張る事としよう)
まずは次の試合に向けてのミーティング。全国まであと4勝だし、気張っていかないとね……。
翌日。猪狩さんの活躍が新聞に掲載され、他校に注目を浴びるようになる。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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