20XX年7月。今年は4年に1度、夏の全国大会と同時に県対抗総力戦が行われる年だ。
この場には東東京代表、西東京代表、京都代表、群馬代表、そして埼玉代表の監督とマネージャーがそれぞれ集まって会議をしている。
「それで……総力戦代表メンバーはもう既に決まってるんでしたっけ?」
群馬代表マネージャーの長嶋葵が全員に確認を取る。
「まだ一部の県は選手獲得に難航しているらしいけど、少なくともこの場に集まっている2県1府と東西の東京はもう代表選手が出揃っているよ」
長嶋の質問に答えたのは京都代表の監督である星野日菜。
「でも今年は代表選手獲得に苦労したよね。まだ決まっていない何県と同じように、私達のところも何人かは断られているし……」
「断る原因の8割以上は受験が控えているからっていう3年生……でしたっけ?代表メンバーに指名された時点でプロ入りはほぼ約束されたようなものなのに、断る選択肢が取れるって凄くないですか?」
「或いは自身の身の程を弁えている……という人も多そうですね。言ってはなんですが、プロの世界で通用する選手はほんの一握り……。堅実に生きる方々からすれば少々博打色が強いと思われます」
埼玉代表の監督の大宮鈴音、東東京代表マネージャーの工藤早苗、埼玉代表マネージャーの坂柳有栖が選手獲得が難航している原因について話し合っていた。
「まぁ暗い話はここまでにして……。この場にいる代表チームは全てだと思いますが、特にこの選手が取れたのは大きかった……というのを話してもらおうかな?私達のこの会議が上の人達に伝わる訳だし、代表選手達がプロにスカウトされる可能性も高くなると思いますし……」
東東京代表の監督の落合七海がどっしりとした面構えで各自に問う。
「……どうせ全員答えなければならないのなら、私が先に答えようかしら」
質問に対しての解答に最初に口を開いたのは、群馬代表の監督、響未来だった。
「群馬代表メンバー獲得の中で1番の収穫はやはり遠前高校の上杉選手、ウィラード選手、イーディス選手、そして風薙選手の群馬の中でも……いえ、全国の高校生の中でもトップ10に入る総合力の持ち主達を獲得出来た事かしら?」
「上杉、ウィラード、風薙の3人は確かアメリカでも大きな結果を残していたねぇ。そんな3人が同じ県……それも同じ高校に所属するなんて、いくら元が無名のところだからって、高校女子野球界のバランスが崩れないかねぇ?」
響の発言に頭を悩ませているのは西東京代表の監督、野村翔子。
「案外そうでもないのではないですか?確かに群馬代表の4人……特に風薙と上杉は規格外ではありますが、少なくともそこに抗える可能性が1番高いところとは良い勝負をしそうです」
「そうは言うけど、落合君。私の予想ではもう群馬1強だと思うがねぇ?」
「ま、まぁまぁ。いきなり結論付けるのは良くないですよ!少なくともここにいる代表選手達も良い勝負をする筈です!」
落合と野村の言い合いを諌めるのは西東京代表マネージャーの堀内大河。
「……まぁ堀内君の言う事も一理あるねぇ。もしもウチが獲得した二宮と群馬代表の風薙が同じチームだと思うとゾッとする。それこそそこの1強になるねぇ」
「ですです!」
堀内は野村に同意を得られたところにホッと一息吐いた。自軍の敗けを早々に決められるのは納得いかなかったから……。
「……私の見立てが正しければ、群馬代表と1番良い勝負をしそうなのは埼玉代表ね」
「埼玉ですか?選手の総合力はこの中では1番劣っていると思いますが……?」
「総合力だけで見ればそうかも知れないわ。けれど埼玉代表メンバーには風薙彼方の妹がいる……」
「!!」
「でも確か彼女はまだ野球を始めて1年と少し……。今回の獲得条件もかなりギリギリでしたよ?」
「そこをどうにかするのは監督である鈴音と、マネージャーの有栖の仕事よ」
「まぁなるようにしかならないと思うけどね……」
「頑張りましょう。鈴音さん」
こうして県対抗総力戦の準備は恙無く行われていく……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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