県対抗総力戦の会議はこの日のところは一旦終わり、会議に参加していた面子が解散した中で大宮鈴音、響未来、坂柳有栖の3人が残っている。
「それで……彼女達にはああ言ったけれど、実際のところ埼玉代表メンバー選出はどうなのかしら?確かまだ全員は決まってないのよね?」
「うっ……」
響の問い詰めに大宮が言葉を詰まらせる。
「選抜メンバーの人数は18~25人まで。決めるのは中々に難しいとは思いますが……」
「そうなんだよ。一部を除いては通知を送ったんだ。話し合いでも言ったけど、有力な選手は何人か断られるし……」
「梁幽館では吉川、高橋、小林、西浦、加藤、美園学院では園川、福澤、影森では中山と強力なところは軒並み断られている中でさえもまだまだ候補には優秀な選手が集まっています。そしてその中でも……」
「新越谷なんだよねぇ……。調査結果だけでも10人くらいは候補がいるのに、代表メンバーに選べるのは一校につき6人までだし、本当に悩ましいよ……」
「選出に難航しているのは新越谷な訳ね」
「まぁね。一応運営側には総力戦の開会式当日まで待ってくれるみたいだから、ギリギリまで悩む事にするよ」
「私も手伝いますよ鈴音さん」
「ありがとう有栖。頼りにしてるよ」
大宮が頭を抱えながら代表メンバーをギリギリまで悩む事を決めた中……。
「そういえば未来の方はどうなの?群馬代表の監督だったよね?」
「私の方は割とすんなりと決まったわよ。埼玉と違って突出している選手は限られているもの」
「アメリカ最強の高校生投手である風薙彼方、高校1年生時点にしてアメリカの高校内でホームラン総数2位の上杉真深、アメリカの高校内で奪三振数総合3位のウィラード・ユイ……ですか。彼女達がアメリカで、そして今いる群馬でも同じ高校なのは破格ですね」
「アメリカの高校は日本以上に実力が拮抗しているのよ。それも超高校級の選手達が……」
「そしてその内の3人が群馬にある遠前高校へ留学した……と」
「その通りよ」
(実力が拮抗している……とは言ったものの、風薙彼方だけは他の選手達よりも頭3つ分くらいは抜けているわね。彼女だけは現時点でプロ入りしても三冠王が狙えるレベルだわ)
響は脳内で風薙彼方についてそのように評価していた。そして……。
「3人共遠前高校なんだよね。野村さんが言ったように、パワーバランスが崩れそう……」
「実際に群馬県予選ではその遠前高校が特に苦戦もなく勝っていますね。それもその3人を温存した状態で……」
「無名の筈なのに凄くない?新越谷みたいに代表メンバーの候補者が沢山いるの?」
「そうでもないわ。遠前高校野球部の部員達は半分以上が初心者だもの」
「素人集団が勝ち進む構図……というのは所々で見受けられますね。それも同一人物の手によって……」
「去年の清澄もそうだけど、天王寺さんが関与しているね」
「彼女は野球と出逢って変われたものね。そして天王寺と同じ存在が4人目の代表メンバーよ」
「イーディスか……。あの子は天王寺に対する執着が凄いよね。10年前の野球対決に負けてからは特に」
「しかしイーディスさんは良いのですか?天王寺さんと同じで人ならざるものなのに……」
「条件が整っているもの。それにあの2人の正体は当人達を除けば私達だけしか知らないわ」
「バレなければ犯罪ではない……と。イーディスもなんで野球をやってるんだろうね。天王寺を連れ戻してジャジメントグループの残党が企んでいる事を阻止しなければ……って息巻いていたのに」
「大方天王寺さんに言いくるめられたのでしょう。イーディスさんは天王寺さんに弱い部分がありますから」
「でも実際に計画阻止に動くのはいつ頃になるの?連中が動くとすれば、多分県対抗総力戦が始まる段階だよね?私達が野球の監督とマネージャーをしている場合じゃないんじゃ……」
「その点については心配ないわ。ブラック達が動いているもの。天王寺もそれをわかっていて、イーディス達に野球をさせているのだと思うわ」
全国大会、そして県対抗総力戦が行われる裏側で何かが起ころうとしている……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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