1回裏。マウンドに上がるのは初戦以来の川原先輩。調子次第では完投の予定だけど、基本的には息吹さんをリリーフに置くつもりだ。今の時点でも木虎と肩を作っている。
「柳大川越の1番打者……私達と練習試合をした時からずっと、ずーっと1番を打ち続けている大島さんだね」
「しかも打率は7割近く……。埼玉の高校の中でもトップ3に入る実力者だ」
「ちょ、ちょっと待って?プロ入りした春星の姉……陽秋月さんの去年の打率が6割だったわよね?それを軽々越えていってない!?」
藤田さんの疑問は尤もだ。だからその疑問に応えるべく、私は口を開く。
「全国ではこれよりも上の打者が何人もいるんだよね。特に今の2年生……つまり私達の同期がかなり目立つ」
「埼玉県内に限っても、大島さんより打率が上の橘さんがいるもんね……」
今芳乃さんが言った橘の他にも咲桜にいる友沢は打率こそは橘よりも低いものの、去年の夏大会から数えて全試合で1本以上はヒットを打っていて、更に去年の夏大会ではサイクルヒットも2度達成していた……。
全国までにもなると安定した打率の持ち主で藤和高校のリードオフガールの金原、本塁打数と打点が全国の高校で随一の洛山高校で4番を打っている清本、白糸台には初回出塁率が9割以上の佐倉日葵さん、同じく白糸台には犠打と守備の仕事人と呼ばれる佐倉陽奈さんも6割前後の打率だし、またまた白糸台に雷轟クラスのパワーと中村さんクラスのアベレージを持つバンガードさんもいるし……。
そしてアメリカから清本がいる洛山へと留学したシルエスカ姉妹。姉のエルゼ・シルエスカさんは白糸台のバンガードさんに比べればややバランス寄りではあるけど、ホームランも多く打つ。妹のリンゼ・シルエスカさんはアメリカでは犠打のスペシャリストって呼ばれていた選手だけど、洛山に入ってからはホームランも増え始め、下手すれば姉よりも隙のない選手なんじゃないかというのが二宮の見解だそうだ。
極め付けには群馬県にある遠前高校。投打共々プロレベルに到達しているウィラードさんと、私達の学年の中では最高のスラッガーである上杉さん……。2年生だけでもこんなヤバい選手がいるんだよ?そこから学年を交ぜると、間違いなく倍以上はいると考えると……ゾッとするよ全く。
『アウト!』
……なんて考えている内に早くも1回裏が終わっていた。どうやらこちらも三者凡退に抑えていた。川原先輩もプロにスカウトされても可笑しくない実力を持っているね。
「柳大川越も三者凡退か……。新越谷の選手層も厚くなっているな」
「今投げている川原さんも他校ではエース級の実力者です。プロのスカウトも獲得に動いているみたいですよ?」
「スカウトと言えば……新越谷からも何人かは私達が通っている大学に誘っておきたいな」
「新越谷からは朱里さんが行く事になっていますが、神童さん的には誰が良いのですか?」
「そうだな……。早川が来てくれるのは私としてもありがたい。良い後輩になりそうだからな。あと新越谷からとなると……今日投げている川原と山崎はほしいかな。藤原も大豪月が気に入っているみたいだし、候補としてはその3人だろうか」
「雷轟さんや武田さんはどうですか?」
「雷轟はプロの荒波に揉まれて、更に伸びるタイプだと私は思っているよ。武田も同タイプの選手だと思うが、武田の場合は山崎と組んだ方が実力を発揮するだろう。そういう意味では山崎に加えて武田もスカウトに動くべきか……」
「洛山側からは和奈さんに加えて、シルエスカ姉妹も非道さんが誘っていますし、もしも神童さん達の大学にそれだけの人間が集まれば、トッププロに匹敵するレベルになりそうですね」
「よーし!頑張るぞーっ!!」
ベンチに戻ってくるなり、雷轟が張り切った様子を見せている。あれは空回りする前兆なんだろうか?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない