「うーわ……。朱里ってば前に見た時よりも球のキレが増してない?」
「確かに……。最後に見たのは3回戦……梁幽館との試合の日だったよね?」
「というかあの時とは別人でしょあれは……。朱里に何があったのさ?」
「…………」
(朱里さんの性格から考えられるのは怒り、憤りの感情から生み出されるピッチング……。リトル時代にも1度だけありましたね。ですがそれとも少し違う……となるとより強固な、打者を捩じ伏せる事に感情を持っていかれている?ですがマウンドに見える朱里さん自身は冷静……。どうやら決して感情だけで野球をしている訳でもなさそうですね)
「ね、瑞希は今日の朱里についてどう思う?」
「そうですね……。咲桜の先頭打者……松井さんですが、小技もこなせて、一発も狙えるスイッチヒッターとしてかなり警戒視されている選手です。その松井さんが打ちあぐねている……。朱里さんも朱里さんで負けられない戦いをしていますね」
「負けられない戦い?それって去年の……?」
「あの時の朱里さんはただ必死なだけでしたが、今は違うでしょう。誰かの為に投げている……そんな感情が見受けられます」
「読み解くねぇ……。感情を」
「6年組んできた投手ですからね。的中とまではいかなくても、6割くらいなら感情を読み解く事も難しくはありません。コールドリーディングの要領です」
「いやいや……。コールドリーディングが出来るのって最早占い師の域だから……」
「そうですか?コツさえ掴めば、占い師でなくとも出来るとは思いますが……」
「ふ、普通はコツを掴む事すら難しいと思うな……」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
よしっ!1番の松井さん、2番の小鷹さんを連続三振!しかし喜べるのもここまで。だって次の打者は……。
「…………」
友沢なんだからね……!
(朱里先輩。亮子先輩には先程の1番、2番打者に比べて、隙がありません亮子先輩は自身の苦手コースを徹底的に攻略していっています)
(わかってるよ……)
木虎は相手打者の苦手コースの分析力に長けている。先程の松井さん達もそれを利用して上手く三振させる事が出来た……。二宮とは別の意味で優秀な捕手だよ。打撃能力も高いし。
(でも友沢は違う……。友沢は自身の苦手にも真摯に向き合っているんだ)
友沢は努力型の人間だ。それは二宮とは別の執着を持つ……。自身の苦手を自身で模索し、自身で対策、対応していく……。友沢はそういう打者だ。
カンッ!
『ファール!』
(やっぱりそう簡単には空振っちゃくれないか……)
去年に対戦した時から……何ならリトル時代から友沢亮子という打者の手強さはわかっているつもりだ。だけど……。
カンッ!
(そう簡単には負けられない……それはこっちも同じなんだよ)
『アウト!』
「センターフライか……」
(だが試合はまだ始まったばかり……。最後には勝たせてもらうぞ朱里)
あとから聞いた話によると、私と友沢は互いに睨み合っていたらしい。そんな怖い表情してたかな?まだ先輩達を貶された怒りが残ってる?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない