雷轟と太刀川さんの対決もそろそろ10球目に入ろうとしていた。既にフルカウントだし、雷轟の方が有利ではあるんだけどね。
カキーン!!
『ファール!』
今投げられたのは高速シュート。太刀川さんの変化球は変化量が同じだから、狙いを定めるのが難しい。特に斜め2球種を混ぜられると厄介だ。
「当たる当たるーっ!」
「遥ちゃんファイトーっ!!」
私を含めた全員が雷轟の応援を精一杯する。向こうの守備陣営からも太刀川さんを応援する声が聞こえる。ベンチから応援する声と、バックから応援する声……。どっちが互いにとって響くのか、それを糧にして投手側と野手側のどちらの方がより力を発揮出来るのか。個人差はあるだろうけど、果たして……。
カキーン!!
『ファール!』
11球目もファール。雷轟と太刀川さんの意地と意地のぶつかり合いが1打席目から発生しちゃってる訳だね……。
「も、もう10球以上も粘ってるよ……」
「雷轟さんも去る事ながら、太刀川さんと小鷹さんのバッテリーも上手く雷轟さんに決定打を与えていません」
「でもこんなのが長くは続く訳がないよね~」
「そうですね。太刀川さんの方も余りスタミナを消費し過ぎる訳にもいかないでしょう。どこかで必ず勝負に出て来ます」
「次で15球目だよね?」
「はい。節目と言いますか、キリの良い数字になれば仕掛けてくるかも知れませんね」
「次で15球目……」
「多分ここで勝負を掛けてくるよ……」
武田さんがそう言うけど、本当にそうなのかな?
「節目というか、キリの良い球数に合わせようとする魂胆はもしかしたらあるかもね」
芳乃さんも武田さんに同調する。そういうジンクスとかあったりするのだろうか?そう思っていたけど……。
「太刀川さんのこれまでのピッチングを見ると相手打者を打ち取っている事が多いのは、大体5球範囲なんだよね」
「つまり1人辺り5球前後球数を費やしてる訳か……」
「でも打たせて取る……ってスタイルにしては球数を使い過ぎじゃないかしら?」
藤原先輩の言う通り、打たせて取るピッチングに1人5球は多い。太刀川さんのピッチングスタイルの開発は多分小鷹さんも関わっていると思うけど、何を持ってして今のスタイルになったのか……。
カキーン!!
「打った!」
「打球はセンターラインに飛んだぞ!」
雷轟の打った打球は低めではあるけど、綺麗な弾道を描き、センターラインへと……。
バシッ!
『アウト!』
飛ばなかった。まるでそこに飛ぶのがわかっていたかのように、センターがフェンスギリギリに背中を付けて、その打球を捕球した。
(柳大川越にもあったように、今の咲桜にもそれ相応のシフトでもあるんだろうか?)
多分それは太刀川さんに合わせられた守備シフトなんだろう。そしてバッテリー側もこの15球目に、雷轟がセンターラインへと打球を飛ばすように誘導した……。もしもそれが本当なら、かなり厄介なピッチングになる。どうしたものか……。
「うう……!」
2打席目、3打席目になるとまた結果は変わってくる。勝負はその時になりそうだね……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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