試合は4回裏。私達の攻撃は1人、2人とヒットを打てるようになるも、決定打が出ずに無得点。そして私はと言うと……。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
私は負けじと友沢以外の打者を三振に抑えている。三振に固執している訳じゃないけど、こうも連続で三振が狙えるのなら狙った方が私個人のモチベーションの上昇に繋がるというもの。
(多分それがわかっていて木虎も、芳乃さんも、私のスタミナ配分無視のピッチングの許可をくれた気がする……)
あとは優秀な投手陣の存在。投手陣が優秀だからこそ、私はあとを託せる。安心して全力で投げる事が出来る……。
風薙さんが偽ストレートを教えてくれた理由としても、スタミナ消費を抑える為の一手に過ぎない。ストレートを遅く投げる事によって、スタミナがない私でも充分に完投を狙えるくらいは出来るようになった。これがシニアから高校1年生までの私だ。
そして……。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
今の、高校2年生になった私はリトル時代に運用していたフォームに加え、母の決め球、そして風薙さんに教えてもらった偽ストレートを混ぜて、私独自の、高校に入ってから習得した新しい決め球を投げる……。これが今の早川朱里だ。
(大丈夫。通用はしてる。あとは……)
「1打席目の借りを……返させてもらうぞ」
圧倒的格上の打者の1人、友沢亮子に私の集大成が通じるかどうかだ。
「朱里ちゃんと亮子ちゃんの2打席目……だね」
「アタシはリトルの事はあんまり知らないんだけどさ、朱里と亮子ってどうだったの?対戦戦績は……」
「リトル時代は朱里さんの全勝ですね。亮子さんも当時はエースで4番だった訳ですが、朱里さんからはまともに打てていませんでした」
「亮子ちゃんは亮子ちゃんでストレートとスライダーが凄かったんだけどね……」
「そういえばリトルって変化球OKなんだよね?組織によっては小学生が変化球を投げるのを禁止させてたところがあるみたいだけど……」
「同じリトルでも私達や亮子さん、いずみさんが所属していた硬式野球チームは変化球の投球は可能で、軟式野球チームや、ガールズチームなんかは変化球の投球が不可能ですね。そして後者のチームからシニアに属する人も多数いたみたいで……藍さんがその内の1人ですね」
「そっか……。変化球の投球が禁止されていた小学生時代は大変だったんだねー」
「中学、そして高校と上がっても並大抵の変化球を投げる事も、打つ事も……特に女性にとってはとても大変な訳ですが、どうにか私達も大変な舞台に足を踏み入れる事が出来ました。そしてその舞台に幼き頃から凌ぎ合いをしている2人の対決……。2度目はどうなるか……」
ズバンッ!
『ストライク!』
(流石、リトル時代から圧倒的な実力を持ち合わせているな)
(ストライクは取れたけど、打ち取った……とは到底思えない。最後の1球までわからないんだよね)
これが友沢亮子だ。咲桜の打線は重量級だけど、その中でも頭1つ以上抜けるのが友沢だ……。去年だって田辺さんや小関さんと同等以上の成果を1人叩き出していたからね。
カンッ!
『ファール!』
他の打者が打ちあぐねているのに対して、友沢だけは年季が違う。努力が違う。執念が違う。友沢以上に努力だけでここまでの才能を持ち合わせる選手を私は知らないね。
(でも……私だって負けてはいられないんだよね!)
ガッ……!
『アウト!!』
(これはナックルカーブ……。してやられたな。今年はまだ投げていなかった)
こうしてギリギリまで隠し持っておく事で、格上を相手にもやれる事が増えてくる筈だ。今回の打席ではそれを学んだよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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