ミーティングもそこそこに、夜になったので解散して帰路についている。私は家の方角が同じである雷轟と山崎さんと帰る事に。
「決勝戦は明後日か……」
「ここまで来たら優勝して、全国へと進みたいよね」
「うんうん!皆で力を合わせれば大丈夫だよ!」
相手の親切高校はこれまで強豪高校を破っているダークホース。エースの一ノ瀬さんを筆頭に投打共に隙がないから、対策も一苦労だよ。無名から実績を残している人達が揃ってるみたいだし。
(あとは人数がギリギリなんだとか。一時期の新越谷みたいで、ちょっと親近感湧くよね。ここから成り上がったりするんだろうなぁ……)
「朱里ちゃん。どうかしたの?」
「なんでもないよ」
心配そうに見ている2人になんでもない事を伝えていると、前方に蹲っている人がいた。
「はぁ……。なんで全寮制の学校って存在してるのかな?ホームシックになったら生徒達の気持ちを考えた事あるの?」
蹲ってブツブツと呟いている人がいた。というか一ノ瀬さんだった。相変わらず関わるなオーラが全開だ。
「あれ?あの人って確か親切高校の……一ノ瀬さん?」
「そういえば山崎さんは会った事があるんだっけ?」
「何々?2人はあの蹲っている人と知り合いなの?」
「映像で見せた一ノ瀬さんだよ」
「一ノ瀬さん……。朱里ちゃんの先輩さんで、元エースって言ってた人?」
「そうだね。そして親切高校のエースでもある」
「そうなんだ……」
雷轟が何か納得したような表情になると、一ノ瀬さんが蹲っている場所へと駆け寄った。あれ?前にもこんな事があったような……。
「こーんにーちはーっ!!」
「うぇっ!?」
あっ、一ノ瀬さんがまたビクッとしてる。前は武田さんだったけど、今度は雷轟か。武田さんも、雷轟も、似たタイプの人間だから、一ノ瀬さんにとっては超苦手な人間にカテゴライズされるんだろうね。
「な、何々何なの……?いきなり声を掛けるなんて陽キャなの?しかも前にもこんな事があったんだけど?しかもまた早川もいるし。見てたのなら止めてよ……」
一ノ瀬さんが私に気付くなり、ブツブツと文句を言っている。なんかすみませんね……。
「それで?今度は新越谷の4番打者?私なんかに何の用なの?私という陰キャに話し掛けるなんて、陽キャって人種は皆そうなの?怖くなってきたよ……」
「あの……決勝戦ではよろしくお願いします!!」
雷轟が一ノ瀬さんにそう言って一礼をした。そういうのは当日の方が良いんじゃ……?
「そ、そういうのは当日にやってよ。心臓が飛び出るかと思ったじゃん……」
「敵に対して堂々と、そして友好的に挨拶が出来る……。中々に優秀な人材だと思いますけどね」
「うひゃっ!?」
一ノ瀬さんの首根っこを掴んで登場したのは、前に一ノ瀬さんを引き摺って行った小柄な少女だった。い、いつの間に……。
「探しましたよ一ノ瀬先輩。21時から定例の夜間ミーティングがありますので、逃げずに来てくださいね?」
「えっ……。いや、今日のロードショーは『風邪の谷のナウいシカ』で、リアルタイムで見たいから、そのミーティングは欠席しようかと……」
「安心してください。貴女がそう言うと思って、録画予約をしておきましたよ」
ニッコリと微笑んで一ノ瀬さんの逃亡予定を阻止した。確かに良い作品だけどね?ナウいシカは……。
「ついでに来週のロードショーである『万と千尋のカビ隠し』も録画予約をしておきましたので、来週のミーティングも参加してくださいね?」
「い、いや、こういうのはやっぱりリアルタイムで見るから意味があるのであって……」
「参加しなければ、寮にある先輩の私物が破滅していると思ってくださいね?」
「はい……。はぁ、神なんていない……」
絶望したような顔色で一ノ瀬さんは俯いてしまった。でもあの小柄な少女からは一ノ瀬さんの事で手を焼いているような感じがする……。それに私達の事も念入りに調べているんだろうし、親切高校の部員の中でもかなり手強そうだよね。なんか色々と二宮に似ているし……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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