決勝戦まであと3日……。それまで私達は各々の求める練習を各自で行っている。私の場合はタフな身体を作る為のランニングだ。
「も、もうすぐ決勝戦だね……」
「3日後……だね」
私と同じ練習をしているのは渡辺。どうやら渡辺も体力向上を芳乃さんに求められているらしい。まぁあれだけ個性的な変化球を投げるのなら、武田さんのように完投を目指せるようにしたいよね。今はともかく、将来に向けて……。
「きっと……新越谷は勝てるよね?」
「そうだね。勝てると信じたいよ」
世の中に絶対はない。だからこそ絶対に限りなく近付けるように生きているのだ。この場合は新越谷高校が親切高校に勝てるように、自分に合った練習を行っている……。
「決勝戦の先発は武田さん……。完投を視野に入れているから、勝てるかどうかは武田さん次第になるね」
「でもヨミちゃんならきっと大丈夫だよ!」
「武田さんは凄い投手だからね。全国で活躍して、更なる成長をするんだろうね」
武田さん程の投手が県大会で躓くのはもったいない……と思っている。だからこそ決勝戦を制して、全国出場に歩を進めたい。あとは……。
(雷轟かな……?今の新越谷は雷轟の存在がかなり大きくなっている。そしてその雷轟の打率は去年の夏に比べて落ちてきている……。だからと言って、私達が雷轟の為に出来る事は余りないんだよね。姫宮戦で雷轟が気持ちを吐露した事によって、多少吹っ切れているようにも見えるけど、一ノ瀬さんとの1打席勝負で自信をなくしているようにも見える……。難しいところだね)
「あ、朱里ちゃん……?どうしたの?」
「……なんでもないよ」
最近考え事が多くなったような気がする。まるで二宮になった気分だよ。
「はーい!じゃあ一旦休憩するよ!」
芳乃さんの号令と同時に、何人かがへたりこんだ。過剰に練習していた訳じゃないけど、相当集中して練習していたもんね。スポドリを凄い勢いで飲んでいる人がほとんどだ。
「れ、練習、しないと……!」
スポドリを飲み終わった雷轟が再度練習しようと、立ち上がった。しかし……。
「お座りっ!!」
「犬じゃないよ!?」
芳乃さんによって止められた。いやお座りって……。確かに雷轟はちょっと犬っぽいけどね?
「駄目だよ遥ちゃん。休む事も練習の内。休める時にはしっかりと休まないと、身体を壊しちゃうよ?」
「はーい……」
渋々ながらも雷轟は納得したみたいだ。過剰練習の末路を私はよく知ってるし、芳乃さんが止めてなければ、私が止めてたよ。
(しかし雷轟はどこか焦っているように感じられる……。まさかもう風薙さんに接触したとか?)
雷轟の話によると、風薙さんは冷たい言葉を雷轟に放ったと言っていた。去年の終わり頃に風薙さんと会った時は、雷轟と同様に明るく、天真爛漫だった。でも雷轟が嘘を言っているとも思えないし……。
(もしかして風薙さんは雷轟に対してだけ、冷たい態度を取るのかな?実の妹なのに?)
ああもう!考える事が増えちゃったじゃん!今は目前の試合の事だけを考えよう……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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