私達が埼玉代表の宿舎に到着すると、番堂さんとゴウさんが口喧嘩をしていた。一体この2人に何があったんだろう……?
「ほら、荷物まとめて出て行ったら!?」
「その台詞をそのまま返すっての!」
私達が対戦した時は2人共感じの良い子だった印象なのに……。まぁゴウさんはちょっとあざとい感じはしたけどね。
「ゴ、ゴウちゃん、落ち着いて……」
「長子も止めな。揉め事は皆に迷惑掛けるし……」
ゴウさんを鈴木さんが、番堂さんを金子さんがそれぞれ諌める。多分ゴウさんと番堂さんの蟠りなんとかするのが県対抗総力戦を勝ち抜く為の分岐点の1つになりそうだ。
「はいはい。番堂さんも剛田さんも一旦落ち着いてね。今から大事な事を話すから」
しばらくしてから坂柳さんと一緒に来た大宮さんがそう言った瞬間、口喧嘩していた2人が黙った。私も感じたけど、大宮さんから発している威圧感が2人をそうさせているんだと思う。見た目はとても優しそうな女性なのにね。
(一体どんな経験をしたら、そんな大宮さんが恐ろしいくらいの威圧感を発する事が出来るんだろうか?)
地獄の合宿の時に大宮さんが少しだけ話した異世界での経験が大宮さんをそうさせているんだと思うけど……。
「今から話すのは新チームのスタメンについて……」
『!?』
新チームのスタメンという言葉に全員が反応した。まぁこれから他県の猛者達と戦う為のスタメンだし、かなり重要視されるからね……。
「まぁ君達の実力はある程度把握はしてるけど、それぞれの相性なんかもあるから、一概には言えない。だから細かいあれこれを確認してから、スタメンを決めようと思う」
改めて全員の実力をチェックするつもりなのかな?この宿舎の近所には練習用のグラウンドもあるし……。
「言っておくけど、その場で決まったスタメンだけが全てじゃないからね。是非とも気楽にやってほしい」
大宮さんはああ言ってるけど……。
『…………!』
(選手全員から緊張が伝わってくる……。いくらスタメンを試行錯誤すると言っても、決められるスタメンが大事なのは確かだし、アピールしていきたいからね)
そしてそれは私も例外ではない……。しっかりと出来るアピールをやっていけば良いかな?
移動して練習用グラウンド。大宮さんの説明によると、今から5対5のミニゲームをするみたいだ……。川越シニアでやった5対5の試合と多分似たようなものだろう。
「じゃあまずは最初の4人……Aチームから決めるよ」
再び大宮さんは全体を見渡す。何をどう決めようとしているのか……。
「……1人目は親切高校の剛田さん」
「はーい!監督もゴウちゃんって呼んでね☆」
「まぁ考えておくよ。それで2人目は……姫宮高校の番堂さん」
「ゲッ……!」
ば、番堂さん滅茶苦茶嫌そうなしてる……。ゴウさんも表情を歪めてるし、本当に大丈夫なのかな?
「3人目、新越谷高校の武田さん」
「よーし!頑張るぞ~っ!」
「4人目、同じく新越谷高校の雷轟さん」
「ヨミちゃん、頑張ろうねっ!」
新越谷からは武田さんと雷轟か……。チームの最強格2人がいると、多少は心強くなるだろう。
「最後5人目は……柳川大附属川越高校の志木さん」
「はい」
最後は志木さんか……。流石に新越谷から3人は多かったか。
「じゃあ次はBチームの……」
「ちょちょちょ……!待ってくださいよ!監督もさっきの見てましたよね!?あんな人を見下してるあざとい奴とは組めませんよ!!」
「はぁ!?アンタが選り好み出来る立場じゃないでしょ!このゴウちゃんと組めた事を光栄に思いなさいよ!!」
また喧嘩が始まったよ……。
「穏やかじゃないなぁ……。同じチームのよしみで仲良くやってほしいんだけど?」
大宮さんがゴウさんと番堂さんに仲良くやってほしいと言ってるけど、これじゃ難しいかもね……。
「それに組まれたメンバーといつまで経っても馴染めないようじゃ、大会では使い物にならないよ」
「「……っ!」」
多分大宮さんは番堂さんとゴウさんが埼玉内では雷轟に負けないくらいのスラッガーだとわかっているから、このチームを組んだんだと思う。そして2人の蟠りさえなくなれば、きっと埼玉代表が優勝に1歩近付くという事も……。
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