「ごめんなさい……ごめんなさい!」
雷轟が懺悔しながら、ベンチ裏へと走って行った。対戦相手が相手なだけに、申し訳ない気持ちでいっぱいなんだろう。
「遥ちゃん……」
「無理もない。あそこまで完膚なきまでにやられたんだ。それも実の姉に……。悔しい気持ちは人一倍の筈だ」
それに加えて、先輩達の夏を自分が終わらせてしまったと思っていそうだ。
(先輩達の方も悔しい気持ちがあるのは確かだろうけど、それ以上に手も足も出なかった事に対しての無力感の方が大きそう)
「と、とにかく誰か遥ちゃんの所に……」
「そ、そうだった……。朱里、行ってやれ」
「私ですか?……わかりました」
主将に指名されて私は雷轟の元へ……。
……で、とりあえず雷轟を追い掛け、追い付いた。というか雷轟が壁に凭れ掛かっていた。
「あ、朱里ちゃん……」
「雷轟……」
思えば埼玉代表のメンバーの顔合わせをした日からどこか様子が可笑しかった。
(雷轟とはもう5年は一緒にいるのに、雷轟の精神状態に気付いてあげられなかった……。私が辛い思いをした時は雷轟が支えになってくれたっていうのに、私は……雷轟に何もしていないじゃないか)
まぁ自分の事でいっぱいいっぱいではあるんだけど、雷轟のメンタルケアも出来る事ならしたい……。かつて私が雷轟に救われたのと同じように……!
「……風薙さんに会いに行った日に、何かあったの?」
「ど、どうして……?」
「選手顔合わせの日からどこか空元気な気はしてた。でもそれは気のせいだと思って何もしなかったけどね……。でも今日の雷轟は様子が変どころじゃない。打席に立った時なんて青ざめていた……」
今の風薙さんは二宮のように冷たい目をしている。最早視線だけで人を殺せそうなくらいに……。確かにそんな風薙さんには恐怖してしまう部分もあるのは仕方ない。でも雷轟は違う。
「……お姉ちゃんは全然悪くないんだよ。私が、私が真相を知らなかったばっかりに……!」
「真相……?」
多分雷轟と風薙さんが仲違いする事になってしまった原因に当てはまる事件だろう。他所様の事情には踏み込むべきじゃないんだろうけど……。
「お姉ちゃんが私に冷たい目でキツく言い放った……11年前のあの日に、私がその言葉の意味に気付いていれば、もっと早くに理由を考えていれば、家族がバラバラにならなかったのに!」
11年前といえば、6歳やそこらだ。そんな幼い子供に言葉の裏側を考えろなんて酷だ……。
(というか雷轟と風薙さんはそんな幼い頃に離れ離れになったっていうの……?)
2人共、色々なものを背負い過ぎだよ。小学生よりも前の子供が背負うには重過ぎるよ。これは安易に踏み込めないぞ……。
「あら……?遥ちゃんに、早川さん?」
「えっ……?」
声のする方向を振り向くと、そこには上杉さんと、水鳥さんがいた。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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