天王寺さんが雷轟のしていた話に対して私が出した意見に賛同していた……。
「て、天王寺先輩、早川さんの言う通りっていうのは……」
「言葉のまんまだよ。彼方はあのように不器用な性格をしてるからね。感情の振れ幅が激しい人間なだけに、投手として余り向いてないと思ってはいたけど……」
「けど?」
「あそこまで感情を消せるのは良い誤算だったよ。個人的には気に入らないけどね……!」
天王寺さんはチームとして風薙さんの状態はプラスではあるけど、個人的に気に入らないらしい。天王寺さんも感情で動くタイプの人間だから、気持ちがわかるのも知れないね。同時に私情で動く傾向にあるけど……。
「ところでどうして天王寺はここに……?」
「ああそうだった。真深と志乃以外にはもう済ませてあるから、2人を探しに来たんだよ。そしたらさっきの場面に遭遇したって訳」
「済ませてあるって……何をですか?」
天王寺さんは上杉さんと水鳥さんに視線を移して……。
「別れを言いに来たんだよ。ちょっと早いけど、私は遠前高校を去る事にしたんだ」
「えっ……!?」
そういえば天王寺さんはそういう人だったね。シニアの時もフラッと現れては、風のように去っていく……。1つの場所に長時間いない風来坊気質なんだよ。
「とりあえず全国大会は由紀と亜紀に任せてあるけど、もしも私の助言が必要なら、電話を掛けてくれ。まぁ出れるかどうかはわからないけどね」
「でもいくらなんでも急過ぎませんか?せめて全国大会が終わるまではいてくれても……」
「まぁ真深の言う事は尤もなんだけど、そうは言ってられなくてね。私はやらなきゃならない事があるんだよ」
『やらなきゃならない事?』
私達が声を揃える。それ程天王寺さんのやる事が気になるんだろうね。
「まぁ公には言えないけどね。ここで言えるのは『何かが起ころうとしている』という事かな」
「何かが……」
「起こる……?」
天王寺さんの謎めいた発言に私達は首を傾げる。一体どういう事だろうか?
「まぁ知らなければそれで良いよ。巻き込む人間は少ないに越した事はないからね。そんな私が言えるのは……ただただ野球に集中してほしいかな?今の彼方程じゃなくても、これから起きる事に対して動揺してはならない」
野球に集中か……。私達はもう負けてしまったし、県対抗総力戦で選ばれなかった新越谷の皆の分も頑張るだけだね。
「じゃあそういう訳で、これで失礼するよ。また会える日を楽しみにしているよ」
手を軽く振って天王寺さんは去って行く。あの人は一体何をしようとしてるんだろうか?味方チームの行く末を最後まで見届けられない程にその何かがとても重要なのかも知れない……。
「あ、嵐のような人だね。天王寺さんって……」
「まぁああいう人だよ。シニアも転々と渡り歩いていたし、高校も3年間で4校くらいいたんじゃないかな?」
「フットワークが軽い……」
謎多き天王寺さん。この中では1番一緒にいた期間が長い私もあの人はよくわからないんだもの。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない