前回のあらすじ……大宮さんに呼び出された雷轟、番堂さん、ゴウさん、そして私。呼び出された理由がイマイチわからないままに大宮さんのいる部屋まで赴いたら、なんとそこには白装束を着て、日本刀を構えた大宮さんがそこにいた……。
「来てくれてありがとう。実は日頃の君達の振舞いを見て、私は腹を据えかねていてね……」
『へ?』
「ここで君達4人を切り捨てる事に決めたんだよ……!」
「「「ひえっ……!」」」
大宮さんが今にも私達を斬ろうとする態勢に私達4人は恐怖する。冗談なんだろうけど、大宮さんから感じる威圧感で決して笑えないんだよね。あと3人共私の後ろにしがみつくのは止めて。
「……なーんて、冗談だよ。この日本刀は今からする特訓に使う物さ」
正直笑えない冗談なんですが……?
「お、驚かさないでくださいよ!」
「ち、ちびるかと思った……」
「ま、まぁゴウちゃんは始めから冗談だってわかってたけどね☆」
3人の反応は三者三様である。あとゴウさんは足が生まれたての小鹿みたいに震えながら、私の肩を掴むのは止めてほしい。
「で、でも日本刀で特訓って一体何を……?」
「この日本刀は見ての通り真剣でね。これを使って君達には……」
大宮さんが日本刀で指した先には短冊サイズの紙が紐に吊るされていた。
「この紙を斬ってもらうよ」
「紙……ですか?」
「な、なんで紙を?もっと速く動く物とか、固い物とかじゃなくて良いんですか?」
雷轟と番堂さんは何故紙を斬る事になったのか……という現状に困惑している。口には出してないけど、ゴウさんと私も同様だ。
「この練習は群馬選抜に所属している風薙選手の目にも映らないストレートに対する打開策さ。超速の球を完璧に捉えるには刀の太刀筋の如き神速のスイングが要求される……」
「…………!」
風薙さんの投げる球の対策と聞いて、雷轟がピクリと反応する。やはり雷轟は風薙さんとの勝負に完敗した事を気にしていそうだ。
「この紙はとても軽く、普通に斬ろうとしても、このようにヒラヒラと逸れてしまうんだ。そこで今から君達にやってもらいたいのは、この紙をたなびかせる事なく、一刀の下に斬る特訓だよ」
「はぁ……。その紙がヒラヒラするのはわかりましたけど、そんなので本当に成果があるんですかぁ?」
ゴウさんが怪訝な目で大宮さんを見ている。まぁ気持ちはわかるけど……。
「百聞は一見にしかず……って事で、今から私が見本を見せるよ」
「か、監督がですか!?」
大宮さんが紙の前に立ち、日本刀を構える。白装束も合わさって、滅茶苦茶様になるなぁ……。
「……ふっ!」
ブンッ!
(えっ?今のスイングって……)
新越谷の試合で何度か見た事がある……。雷轟も同じ反応をしているし、この人何者なんだよ!?
「ふぅ……」
「……って、何も変わってないじゃないですか!」
「ヒラヒラしなかったのは凄いけど、当たってないなら、意味がないですね☆」
「…………」
「違う……。監督は超速のスイングで紙を斬ったんだよ」
「「えっ!?」」
「……どうやら雷轟さんには見えていたみたいだね。それと早川さんも」
確かに見えた……けど、なんとか見えたってだけだ。
「じゃあ見えてなかった番堂さんと剛田さんはよく紙を注目してみて」
大宮さんの言葉の後、紙が真っ二つになった。無駄の少ないスイングでこうなる訳か……。
「き、切れてる……」
「すっご……。全然わかんなかった」
「これが超速の球に対抗し得る超速のスイング……。それがこの静の打法『空蟬』だよ」
(やっぱり……。大村さんがやっていたスイングだ)
「うつせみ……」
「な、なんか覚えたら滅茶苦茶格好良いかも!?」
「この特訓は大変危険を伴うから、刀の扱いには気を付けてね。あと必ず室内で行う事」
まぁそりゃそうだよね。外に持ってったら、銃刀法違反になるもんね……。
「出来る事なら君達の特訓の行方を最後まで見ていたいけど、他の選手も見ておかなきゃならないから、私の代わりに臨時講師を紹介するね」
「臨時講師って……もう呼んでるんですか!?」
「そうだよ。部屋の前で待たせてある。おーい、入ってきても良いよー!」
大宮さんが呼んだ人物が襖を開けた。入ってきたのは……。
「し、白菊ちゃん!?」
「ここからは僭越ながら、私大村白菊が皆さんの特訓の監督を致します。よろしくお願いします!」
まぁあのスイングを見た時から察してはいたけど、大村さんが私達の手助けをしてくれるみたいだ……。
「皆さん、この空蟬を必ずや完成させましょう!」
『おおっ!!』
こうして私達は空蟬が完成するまで大村さんの指導の下、特訓する事になった。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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