1回裏。守備に付く前に裏に備えての作戦を考える……。
「なんとも愉快な球でしたね」
「超フライ宙空投法……というやつか。投手が遥か頭上から投げられたフライ球が十数メートルに達した瞬間に、猛スピードで落下する中々に面倒な代物だよ」
坂柳さんと大宮さんは沖田の投げた天竜(沖田命名)の正体がハッキリとわかっている。多分雷轟も似た感覚は掴めてそうだけど、決定的な攻略法がわからないのがネックか……。
「向こうも簡単に攻略させまいと多投はしない筈だから、その前に投げられる球を叩くのもありではあるけど……」
「自信のある球を打ち砕けば、投手は戦意喪失する事間違いないでしょう。親切高校は過去にそうしてきました」
坂柳さんが中々に容赦ない事を言ってるな……。芳乃さんを冷酷にすると、あんな感じなんだろうか?
「……有栖の案を使うにせよ、使わないにせよ、余程危ない状況でない限りは君達に任せるとしよう。その前に無失点で切り抜ける必要があるけどね」
「そうですね。一ノ瀬先輩、弟子に負けないよう奮闘してくださいね?」
「べ、別に沖田は弟子とかじゃない……」
一ノ瀬さんが相変わらず陰気な雰囲気を醸し出す。ネガティブであればある程に力を発揮する投手だから、こういう時は頼もしいんだろうか?
(何にせよ、一ノ瀬さんがどれくらい粘れるかに掛かっているのかもね)
高知選抜は打力の高い天下無双学園の選手が中心に集まっているんだから……。
「総司さんが投げた球は中々に攻略が大変そうですね」
「あんな球見た事がないよー!まさに魔球!」
「芳乃さんが興奮されてます!」
「いやいや、感心してる場合じゃないですよ!?」
「……瑞希先輩は沖田さんの投げた球に対して、何か解答はありますか?」
「パッと思い付くだけで攻略法は幾つか浮かびますが、ランナーの出塁が必須となる条件は難しそうですね」
「あんな球をポンポンと投げられたら、ランナーどころじゃありませんもんね……」
「だから上手く軌道を見極める必要がある訳ですが……」
(実際に他人事ではない分、あの球は厄介ですね。ただ当てるだけでは意味がないですし、埼玉選抜がどのように攻略するか、見させてもらいますよ……)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
『一ノ瀬選手、沖田選手に負けじと二者連続三振!多彩な変化球で高知選抜を手玉に取っています!!』
『一ノ瀬選手と沖田選手の球筋がかなり似ていますね。投げているのはカーブ、シンカー、シュートの3球種ですが、何れも大きく曲がり、キレも抜群です』
解説の言うように、一ノ瀬さんと沖田の変化球はとても似てる……というかほぼ一致している。二者連続三振で調子が良さそうに見える一ノ瀬さんだけど……。
「さっすが羽矢さんですね!でもこの沖田さんが必ずや捉えてみせますよ!」
(3番の沖田、4番の土方さんに同等の変化球が通じるかわからないから、難しい場面なんだよね。沖田は一ノ瀬さんに変化球を教えてもらい、同じ球を投げ続けてきたし、土方さんはそんな沖田の球を捕っている……)
あの2人の付き合いは高校に入ってからだけど、投げ込みだけでも相当数やり込んできている筈……。一ノ瀬さんが、バッテリーがどう出るかで展開が変わってきそうだ……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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