ノーアウト三塁のチャンスでクリーンアップに入る。
「ねぇねぇ!さっきの打球ってどうなってるの!?」
雷轟がさっき朝海さんが打った打球に興味津々の様子。元気が良いね。
「朝海姉さんの打球については私達が……」
「説明するわよ」
夕香さんと夜子さんが説明を始める。
「まずは朝海姉さんの構え方についてね」
「そういえばとても低く構えていたね?打球を飛ばす為に低く屈んでいたってところかな?」
「そう。体のバネを大きく伸ばす為のもの」
成程ね。強打を打つ為に溜めを作っていた訳か……。
「じゃああのジグザグに落ちたあれについては?打つ前にバットで地面を抉ってたけど……」
「あればボールに微量の土と傷を付ける為……」
「………?」
雷轟の質問には夜子さんが答えるけど、意味がわからずに首を傾げる。正直私もよくわかってない……。
「打つ時にバットで地面を抉り、微量の土と傷をボールに付けて、さっきのように落下地点にてその時に付いた土と傷が空気抵抗の歪みを作り、不規則に曲がりながら落ちていった……という訳」
「イメージは鍬で畑を耕し、斧で木を打ち込む事……。そこから朝海姉さんは新打法を編み出したのよ。名付けてBTS(ブルーサンダースラッシュ)!」
「……夕香姉さんは中二病を拗らせ過ぎ」
この2人の掛け合いはともかく、朝海さんがとんでもない打法を編み出した事には変わらない。
「けれど朝海姉さんだけじゃないわ。私も、夜子も、この県対抗総力戦に向けて、かなり強化したのよ!」
「まぁ私は姉さん達とは別行動だったけど……」
夜子さんの別行動とやらが気になるな……。
カンッ!
3番の番堂さんはサード正面のゴロを打った。三塁ランナーの朝海さんがホームに向かった瞬間、サードがホームへと送球。その瞬間に朝海さんは三塁へと帰塁を始めた。これは番堂さんを生かす為の走塁だね。
『セーフ!』
一塁はセーフ。朝海さんも三塁に戻り、記録はフィルダースチョイスとなった。
(そういえばシニア時代にあの3人が所属していた春日部シニアはフィルダースチョイスの数がシニア随一だったっけ……)
足を絡めるプレーを得意としている厄介な相手だった。足の速さを見せるだけではなく、それを利用して打った打者をも生還させる動きを時々行う。今朝海さんがやったのがそれだね。
「よーし!行ってくるね!」
何はともあれ、ノーアウト一塁・三塁のチャンス。もしかしたらこれが最大のチャンスになりかねないし、雷轟には是非とも頑張ってもらいたいところだ。
「ノーアウト一塁・三塁のチャンス!」
「しかも回ってきたのは遥先輩ですよ!」
「ここで遥先輩が点を取れれば、埼玉選抜は大分楽になりますが……」
「逆に雷轟さんを総司さんが抑える事が出来れば、流れは高知選抜に傾きます」
「あの天竜って魔球を如何に打つかが鍵ですね!」
「滞空時間が長いのが弱点っぽいわね。ランナーがいる時は投げ辛そうだわ」
「だから雷轟さん側はかなり有利な訳ですね」
ブンッ!ブンッ!ブンッ!
(よーし!今度こそ打ってやる!!)
(激しい素振り……!)
(全力で打ちに来るつもりですね……。こちら側は一体どうしてやりましょうかねぇ?)
雷轟対沖田。第2ラウンドが幕を開ける……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない