最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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県対抗総力戦!埼玉選抜VS高知選抜⑪

6回裏の展開からは互いにランナーを出しつつも、ピンチの場面で抑えるという展開が続き、4対5のまま、最終回……9回を迎えた。

 

『さぁ、怒涛の攻防が続きました埼玉選抜VS高知選抜もいよいよ9回の攻防に移ります!』

 

『この県対抗総力戦は普通の女子高校野球とは違って、9イニングで試合をする……という普段と違うルールに対応していくのは大変そうですね。それも4年に1度と慣れる頃には大会そのものが終わってしまいますので、また7イニングルールに戻り、総力戦に出ていた選手達からすれば、多少物足りなく思ってしまいます』

 

『青葉プロもこの県対抗総力戦の出場経験がおありだとか!?』

 

『そうですね。もう8年前になりますが、当時高校2年生だった私は光栄な事に代表選手として選ばれました』

 

『在りし日の青葉プロの活躍から8年経った今、今年の県対抗総力戦は如何でしょうか!?』

 

『8年経てば、女子選手が男子選手と張り合うくらいの実力を身に付けている人達が多いですね。特にこの大会に出場している選手達はそのラインに立っていますし、一部の選手達はそのラインを遥かに越えています』

 

『ありがとうございます!では9回の攻防が始まります!見逃すなよおまえらーっ!!』

 

『口悪っ……』

 

立ち直った沖田から点が取れないのが、かなりキツい。全く打てない訳じゃない……というのが質の悪い事この上ないし……。

 

 

カンッ!

 

 

先頭の志木さんが初球から痛烈なライナーを放つものの……。

 

『アウト!』

 

ピッチャー正面。ワンアウトとなってしまう。

 

「ふぅ……」

 

「選手交代だね。一ノ瀬さんに代わって……友沢さん」

 

一ノ瀬さんの代打として、友沢が打席に立つ。代打として立てるなら、松井さんなんかも候補に挙がるけど、シニア時代の事を考えると、友沢の方が相性が良いか……。

 

「いけるね?」

 

「もちろんです」

 

過去の友沢と沖田の対戦成績は10対6で友沢が優勢だった。しかし互いに別々の高校に入り、別々の想いを秘めて、この舞台に上って来た2人……。結果がどうなるかは神の溝知るってところだね。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

最終回になって、沖田が投げる変化球のキレが増してきた気がする。球数も100を越えてるんだし、疲れていても可笑しくないのに……。

 

(沖田……。ここに来て、ギアを上げてきたか。確かに彼女を抑えるには省エネピッチじゃ誤魔化せないし、致し方ない。でもここまで来たら打ち取るよ)

 

(はぁ……!はぁ……!と、当然ですよ!)

 

(やるな沖田……。だが私だって負ける訳にはいかない!)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(当てられた……!今の沖田は今日1番の変化球を投げている筈なのに、それでも……)

 

(さ、流石亮子先輩ですね……。シニアで天才打者の称号を与えられただけありますよ)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

これで4球連続ファール……。沖田も様々な変化球を散らしている筈なのに、友沢はそれに上手く対応している。シニア時代でも対応力の高さはチーム随一だったから、今でもアドリブに対応していっている。

 

(カードも、シュートも、シンカーまでも……。大きい当たりは打たれてないにしろ、タイミングが完璧に合ってる)

 

(……土方さん、構えてください。天竜、行きますから!)

 

(正気!?……わかったよ。私は沖田の判断に任せる)

 

6球目。沖田は上空へとボールを放る。4回以来の天竜を投げたんだ。

 

(これがスタメンの皆が言っていた球か……。雷轟と剛田の話に寄れば、地面に映る影を見れば良いらしいが……)

 

友沢は地面へと視線を移す。多分雷轟やゴウさんの言ってた地面に映る影を頼りに打とうとしてるんだろうね。

 

「……そこだっ!」

 

 

カッ……!

 

 

友沢はタイミングを合わせて天竜を捉えた……筈だった。

 

 

ギィンッ……!

 

 

(ぐっ!この球の重さは……!?)

 

(今日最初で最後に投げる今までの天竜に加えて、私の全体の体重を乗せた1球です。今までとは訳が違いますよ……!)

 

タイミングは完璧だったけど、当たりはボテボテと三塁線に転がっていった。

 

「…………!」

 

打った友沢は懸命に走る。埼玉選抜は走力に優れた選手が多数いるし、内野安打も充分に狙えるね。友沢もその1人だし。

 

「ファースト!!」

 

 

ズバンッ!

 

 

『セーフ!』

 

「つ、繋いだ……」

 

「ナイスバッチー!」

 

これでワンアウト一塁。まだまだ希望は生きている!

 

「はぁ……!はぁ……!」

 

「…………」

 

(今の1球は最高だった。友沢さんの打った当たりも完全に詰まらせたものだったし、内容は完全に沖田の勝ちだったのに……)

 

「……切り替えていきましょう。あとツーアウト、しっかりと取って、この試合に勝ちましょう!」

 

「そうだね……」

 

(でも今のやり合いで沖田は相当疲れてるし、変化球も前のイニングから時々制球が乱れていたし、期待はし辛い……)

 

次は1番打者の中村さん。上位打線なら、沖田の球に食らい付けるかも……。

 

 

カンッ!

 

 

中村さんは初球から打って出る。しかし……。

 

 

バシッ!

 

 

『アウト!』

 

再びピッチャー正面。これでツーアウトとなってしまった……。

 

「…………」

 

次の打者は朝海さんだけど……?

 

「……いけそうね」

 

「朝海姉さん……?」

 

「この風向きなら、狙えるわ」

 

「そっか……!」

 

三森3姉妹にしかわからない会話は止めていただきたい。ほとんどの人がポカンとしてるじゃん。大宮さんと坂柳さんは何かわかったような表情を。わかるなら、私達にも解説してほしいです。

 

 

カキーン!!

 

 

えっ……。

 

『しょ、初球から打ったーっ!右中間に高く上がったぞー!?』

 

『確かに高く上がりましたが……』

 

朝海さんはアッパースイングで沖田の球を初球から捉えた。しかし……。

 

「高く上がり過ぎかも……?」

 

「こ、このまま入らないの!?」

 

「それには飛距離が足りないね。策越えは難しい……」

 

「………!」

 

打球は右中間へ。入れば逆転、アウトならゲームセットで私達の負け……。お願いだから、そのまま入ってよ……!

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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