最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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偽物

夜。私は気分転換も兼ねて、外周を走っている。体力作りも私には必要だしね。

 

(洛山の4人が中心になる打線と、黛さんの変化球……。課題はいっぱいあるけど、それでも皆なら勝てる筈……!)

 

今日発表されたスタメンの皆に明日の勝敗は委ねられる。打ち合いを制した上で、黛さんの変化球を正確に捉える必要があるから、選球眼に比較的強い面子で固めた。まぁ友沢とか、村雨とかも選球眼は強いけど、控えにも隙のないようにするのが大宮さんと坂柳さんの務めらしい。

 

「ふぅ……。この辺りで少し一休みしようかな」

 

着いた場所はかつてゴウさんと番堂さんが喧嘩していた公園。そこまで広くはないけど、自主練習には持ってこいだ……ってあれ?誰かいる……?

 

「はぁ……!はぁ……!」

 

あれは……松岡さん?1人で投げ込みをしてるみたいだけど……。

 

 

バンッ!

 

 

「まだまだ……!」

 

 

バンッ!

 

 

「もっと……もっと……!」

 

(なんか鬼気迫る感じがするなぁ……)

 

近寄りがたいオーラも出してるし、触らぬ神に祟りなしって事で、ソッとしておいた方が良いのかな……?

 

「……誰!?」

 

え……。もしかしてバレた!?というか隠れているつもりはないんだけど、なんか後ろめたくなって、罪悪感が出ちゃうよ……。

 

「ど、どうも……」

 

「早川さん……」

 

滅茶苦茶ピリピリするんだけど……。今すぐにでも、ここから逃げ出したい。

 

「どうしてここに?」

 

何を話そうか迷っている内に、松岡さんから話し掛けて来た。

 

「え、えっと……。私はランニングの途中に、この場所に立ち寄って……」

 

「そう……。私は投げ込みをしてるんだ。次の試合で先発を任されたから、沖縄選抜との試合の日のような、惨めな目に遭わない為にも……!」

 

な、成程。それで松岡さんはどこかピリピリしてるっていうか、どこか怖い雰囲気を出してたのか……。

 

「でもこうして早川さんと2人になれて丁度良かった。聞きたい事があって……」

 

「聞きたい事……ですか?」

 

何?何を聞こうとしているの?松岡さんは私に何を……?

 

「岡田さんや雷轟さんが言ってたんだけど、相談事は早川さんにすると、きっと良い方向に導いてくれるって言ってたしね」

 

何それ初耳。いつの間に私はメンタルケアの役割が出来たの?私カウンセラーなの?

 

「……で、相談っていうか、聞きたい事があるんだけど、早川さんは偽物ってどう思う?」

 

「ど、どういう意味ですか……?」

 

いきなりな質問に疑問符が……。哲学ですか?

 

「早川さんは知ってると思うけど、私は他の投手の投球フォームや、球威なんかをコピーして、修正するピッチングをしてるの」

 

「まぁ……実際に目の当たりにしてますので、知ってると言えば、知ってます」

 

「私は2年の秋頃から投手に抜擢されて、そのやり方を実戦してたんだけど、いつしか一部の部員からは『偽物』って呼ばれるようになってね……」

 

「偽物……?」

 

コピーされてる人からしたら不快に当たるから、当て付けの意味合いも兼ねて、松岡さんをそう呼んでるって事……?

 

「別に呼ばれた当初は特に気にしてなかったよ?それこそ県対抗総力戦で沖縄選抜との試合で先発を任されるまでは……」

 

松岡さんは俯きながら、話を続ける。

 

「あの試合は雨のお陰でノーゲームになったけど、私は沖縄選抜の打線に捕まり、連打を食らった……。その日の夜から毎日夢を見るの。『偽物だから負けたんだ』、『所詮は偽物、本物には勝てっこない』って私の脳内に囁いて……!」

 

「松岡さん……」

 

こ、これは思った以上に深刻な問題だ……。一体どうすれば良いんだろう?

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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