最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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県対抗総力戦!埼玉選抜VS京都選抜⑯

9回表のツーアウト。打席には京都選抜の最強打者、清本和奈が入った。

 

(清本さん……。松岡さんの渾身の球を悉く打ち返した最強の打者)

 

(今日取られた3点も全て彼女が叩き出したもの……。もしもホームランを打たれて同点になったら、こちらが不利な展開になりかねない……。コースを突いて丁寧に、そして全力で抑えていきましょう!)

 

(そうだね、蓮華ちゃん……!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

初球はボールから……。慎重に立ち回るのは悪くないけど、京都選抜の強力打線を考えると、歩かせてランナーを溜るのはリスクが高い。バッテリーもそれがわかっていて、清本と勝負をしているんだ。

 

(でも清本も追い込まれている側だから、簡単には手が出せない。かと言ってバッテリー側が有利という訳でもないし、本当にどう転ぶかわからないね……)

 

あの洛山にいるから、比較的に速球に強い。朝倉さんの球種は速球系のカットボールとSFF、+αってどころか……。+αの内容次第で清本に対する有効な球があるのか、それとも……?

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

清本がさも当然のように場外ファールを放つ。それに対して余り驚かなくなっているのは、最早感覚が麻痺しているとしか思えない。これでカウントは平行となった。しかしまぁ……。

 

「…………!」

 

「…………!」

 

(朝倉さんも清本も楽しそうに野球するよね。2人共生き生きしてるよ)

 

私は清本と勝負する時はいつも冷や汗かくし、ビクビクと怯えながらやってるんだよね。まぁ強打者との勝負は楽しいけどね?

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

『またまた特大ファール!京都選抜の小さなスラッガー、朝倉選手の剛球に対して悉く対応していっています!!』

 

『朝倉選手の方もまだ球の勢いがありますし、互いに拮抗した勝負をしていますね』

 

解説の言うように朝倉さんが清本を抑え切っても可笑しくないし、清本が朝倉さんを打っても可笑しくない……。妙に静かな緊張感を含めて、これは2人の勝負なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、最後の最後で和奈が頑張ってるねぇ~☆」

 

「今の和奈さんの中には朝倉さんとの勝負を楽しみたいという気持ちと、京都選抜の全員ともっと県対抗総力戦を勝ち抜きたいという気持ちが入り交じっています」

 

「う~ん……。全国大会はともかく、県対抗総力戦に関してはあんまりそういう感情は湧かなかったかなー?」

 

「その場限りの付き合いになる可能性がある上に、いずみさんの場合は他チームよりも海外からの野球留学生が沢山いますからね。馴染みがないのも致し方ないのではないですか?」

 

「……そうなのかな?」

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

「ま、また場外ファールだし……。和奈の小さい体のどこにそんなパワーがあるんだろうね~?」

 

「…………」

 

(打球の勢いが弱くなりつつありますね。場外に飛んでいるので、わかりにくいですが、少しずつ飛距離が縮まっています)

 

「……次の相手が決まりましたね」

 

「瑞希?」

 

「何でもありませんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

「…………」

 

(いけるかも……知れませんね)

 

(そうだね。だからと言って少しの油断やリズムの不調で間違いなくホームランを打たれる)

 

(うう……。段々差し込まれて来たよ。ただでさえ真ん中に飛ばないコースと球種を投げられているのに、このままじゃ……)

 

現状は朝倉さんが押しているように見える。コースも清本が引っ張らざるを得ないところを上手く突いてるし、清本もわかっていて手を出している。

 

(そろそろ決めたい……えっ!?)

 

「………っ!」

 

それはこの勝負の決着を意味する1球だった。志木さんが要求したコースから数センチ真ん中寄りにズレた1球……。

 

 

カキーン!!

 

 

打球はライト線に飛ぶも、ポールをまいているだろうし、スタンドにはいればホームランだ。

 

「…………!」

 

ライトにいる夜子さんはこの状況を想定して、朝倉さんが投げた瞬間にフェンスに張り付いていて、既にフェンスをよじ登っている。

 

「……簡単には抜かせない」

 

 

バシッ!

 

 

『捕った!?』

 

これでゲームセット……かと思いきや。

 

「うぐっ……!?」

 

夜子さんのグラブに収まっても、まだ打球の勢いが死んでいない。ま、まさかボールをスタンドに落とさないよね?

 

「ああっ……!」

 

打球に力負けしそうと判断した夜子さんは勢い良くボールをグラブごと投げた(投げてしまったという表現の方が正しいかな?)。これはロジャーさんがやっていたグラブ飛ばしの守備版!?そしてその打球はそのまま地面に……。

 

「よくやったわ夜子。ファインプレーよ!」

 

「ええ。あとは姉に任せなさい」

 

 

バシッ!

 

 

落ちなかった。まるで夜子さんがホームランボールを押し戻す事を予測していたかのように、セカンドにいた朝海さんが夜子さんの投げたグラブを両手でしっかりと受け止めた。

 

『ア、アウト!!』

 

この場にいた全員が一瞬戸惑ったものの、結果は朝海さんのファインプレーという事になり……。

 

『ゲームセット!!』

 

京都選抜との試合は3対4で私達埼玉選抜が無事に勝つ事が出来た。色々とヒヤヒヤした試合だったよ……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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