最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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県対抗総力戦!埼玉選抜VS西東京選抜⑥

十文字さんの後に打席へ入るのは、高校生選手の中で清本の次に小さい選手。西東京選抜のブレインとも噂されているらしい二宮。

 

(打席に立つと、大分雰囲気変わったよね。威圧感があるって訳じゃないけど、なんかオーラを感じるよ……)

 

独特な雰囲気というか、なんか嫌な予感がするというか……。

 

(ここが最大の正念場……。可能ならキッチリと抑えていきたい!)

 

(身長は清本さんと同じくらいなのに、清本さん以上に隙が感じられない。どこに投げれば良いのやら……)

 

「…………」

 

バッテリーも二宮を警戒している。なんなら十文字さん以上に警戒してない?気持ちはわかるんだけど……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「…………」

 

(今日の主審は高めのコースに甘い傾向がありますね。十文字さん達の打席でもそうでしたが、バッテリー側もそれを把握して投げています。ですが……)

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(こうして粘る分には何も問題ありませんね)

 

二宮は粘り強い打者だ。それはリトルシニアと同じチームで野球をして、高校からはこうして敵対して二宮という打者がより厄介な選手かがよくわかる。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

『二宮選手、ファールで粘る粘る!』

 

『粘りに長けた打者ですね。1年時点で白糸台高校のレギュラーを勝ち取り、正捕手として君臨し、味方投手を成長させる……先程の十文字選手と似たような事を結果的に行っているようです』

 

『結果的に?どういう事ですか?』

 

『二宮選手本人は全くの無自覚な事がほとんどのようで、逆に意図的に成長させた投手は今後も大幅な成長が見込める人材になる……と、二宮選手が通う白糸台野球部内で広まっているらしいです』

 

『最早七不思議レベル!!』

 

そうなんだよね。二宮はリトル時代から一緒に組んだ投手を無意識的に成長させるきらいがあるんだよ。それに気付くのに1年くらい掛かった訳だけど、そのお陰かリトルシニアでは二宮がかなり重宝されたんだよね。まぁそれは今も白糸台で同様みたいなんだけど……。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(更に二宮自身もそれで成長に繋がるから……という理屈で、二宮は配球、リード、投手の癖、球威、変化球の変化量、コンディションなんかを早い段階で把握出来るほぼ唯一無二の才能を結果的に持つようになった……。それは本人が趣味と自称している情報収集が原因の一端を担っているっぽい)

 

二宮は声出しをしないタイプだし、大声も出したところを見た事がないから、捕手には向いていないんじゃないかとも言われた時期があった。

 

確かに捕手はメンバー全体に声出しして士気を高めるイメージはあるけど、二宮はその真逆。淡々と、機械的に野球をしている感じがするから、私達のような主要メンバーを除いて敬遠されているって話を清本や金原から聞いた事もある。まぁ事情を知らない人間からすれば、仕方ない部分もあるけど、二宮って案外人間的だよ?天然な部分もあるし……。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

(それにしても流石の粘り……)

 

もうそろそろ10球に到達しそうだし、バッテリー側は勝負に出た方が良いと思うんだよね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「粘るね~。流石は瑞希!」

 

「瑞希ちゃんって粘りはシニアでもトップクラスだったもんね。埼玉選抜の投手も大変そう……」

 

「埼玉選抜と言えば、1つ気になる事があるんだけど……」

 

「気になる事?」

 

「朱里がまだ1回もマウンドに立ってないんだよ!恐らく埼玉選抜の投手陣の中でも1、2を争う実力を持つ朱里がだよ?」

 

「……そういえばそうだね。でも埼玉選抜側にも何か考えがあるんじゃないかな?ほら、群馬選抜に対抗する為に、ずっと朱里ちゃんを温存してる的な……」

 

「まぁそれはあるかもね~。シニアリーグの世界大会みたいに対上杉さんにワンポイントとか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

あれからも二宮は粘り続けて、次で15球目になる。こうなってくると泥沼だね。まぁ大宮さんの予定からすれば、大事にはならないから、そこが救いなのかな?

 

 

カンッ!

 

 

あっ、打球が前に飛んだ……。

 

 

バシッ!

 

 

『アウト!』

 

「やった!二宮さんを打ち取った!!」

 

「これはいけるかも……!流れは埼玉選抜だよ!」

 

何故か打ち取った吉田さん達よりも、雷轟と武田さんの方が嬉しそうなのは不思議。心なしか武田さんの隣にいる山崎さんも嬉しそうだし……。

 

「さて……。向こうの打順も一巡するし、こちらも動くかな」

 

大宮さんが伝令に言伝てを……。いよいよだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「惜しかったね」

 

「はい。出来る事なら出塁しておきたかったですが、向こうの球威に若干圧されましたね」

 

「でも2巡目に入るし、あの投手の球も1打席目よりきっと打ちやすい筈だよ!」

 

「そうですね。まぁ……」

 

『おっと?埼玉選抜は投手交代を行うようです!』

 

「このまま吉田さんが続投するのなら……の話ですが」

 

「ええっ!?投手を代えるの!?」

 

「これはこちらにとって1番嫌な手法を取ってきたね」

 

「本来1打席目は相手投手の球筋に慣れる為に費やす事が多いですからね。プロ野球のオールスター戦のように、分業制で投手を代えられると、折角費やした時間が完全に無駄になってしまいます」

 

(それこそこれから投げる投手が吉田さんと真逆のタイプの投手だと、更に苦戦を強いる事になりそうですが、果たして……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

「ナイスボール!」

 

向こうの打順が1番に戻ったので、こちらは投手交代。まだ3回なのに、大宮さんも大胆な事をする。恐らく二宮と十文字さんに対する対策だろうけど……。

 

(最早大宮さん、坂柳さんと二宮、十文字さんの頭脳戦みたいになってるよね……)

 

マウンドには夜子さんが。投手タイプとしては吉田さんに似ているけど、投げる球種が違う。ここからが対西東京選抜の第2ラウンドが幕開けだ!

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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