試合はもう終盤。7回表は1番からの好打順だけど、鋼さんの投げる球に打ちあぐね、三者凡退。なお未だにパーフェクトを決められている。本当に不味い……。
7回裏。味方の援護を信じている泉さんが4番から始まる西東京選抜の中軸打線を三者凡退で抑える。流れは来てる筈なんだけどなぁ……。
そして8回表。打順は4番の雷轟からなんだけど……。
『西東京選抜、守備の交代をお知らせします。キャッチャー代わりまして二宮さん。DHにはキャッチャーにいた十文字さんが入ります』
「じゃああとはお願いね?」
「なるようにしかなりませんが……。任せてください」
「瑞希ちゃん!」
「十文字さん程のリードは出来ませんが、私なりに香菜さんを導くつもりです」
「う、うん!頑張るね!」
(やっぱり二宮の方が鋼を上手く活かせる気がするなぁ……。なんかお似合いって感じがする)
「どうかしましたか?」
「なんでもないよ。あと2イニング、頑張ってね」
遂に二宮がマスクを被るのか……。前の試合では7回に入ってて、この試合ではそれがなかったから、もう入らないのかな……と思っていたけど、ようやく重い腰を上げたか。
(鋼さんとの相性は同学年で、付き合いの長い二宮の方が良い筈……。このままだと完全試合を決められかねない)
だから頼んだよ雷轟。埼玉選抜に勝利をもたらす一打を……!
「すっご!西東京選抜はまだパーフェクトじゃん!」
「しかも瑞希ちゃんがこの回からマスクを被ってる……。これって埼玉選抜にとって一気に不利になっちゃうんじゃ……?」
「瑞希の捕手としての腕前は十文字さんにも負けてないからねー。でも3巡目に入ってるし、この回は4番からだし、1点差しかないから、最低でも同点に持っていけそうな気がするけどなー?」
「互いにどう出るのか……。この試合の展開が本当に予想が付かないよ……」
カキーン!!
『ファール!』
初っぱなから雷轟は特大ファールを飛ばす。前の打席の事があってか、今打った球はボールゾーンだったんだけど……。
(流石に3打席目となると、香菜さんの球を苦もなく打ってきますね。正直今日の試合で香菜さんが雷轟さんを打ち取れたのは奇跡レベルで、今の雷轟さんはスラッガーとして大成しています)
今の雷轟なら鋼さんにここまで苦戦する事はない……と思っていたんだけど、対鋼さんの成績が余り良くないからなのか、それとも風薙さんとの対決が近い影響で実力が振るえていないのか、ここまで良いようにやられてしまっている。多分後者の原因はないだろうけど、今の雷轟ならそう思ってしまっても仕方ない部分があるからね……。
(こうして当てる(場外へ飛ばす)事は出来ているから、雷轟の調子が悪い訳じゃないとは思うんだけどね)
そうなってくると、十文字さんや、二宮のリードに誘導されている可能性が高いかな?
鋼さんの投げる2球目……あっ!?
「あっ!?」
「えっ?ええっ……?曲がらない……?」
「はぁ……」
何を投げようとしたのか、その結果は失投……。なんとど真ん中に投げられた。
(う、打っちゃっても良いんだよね……?)
何故か雷轟側もちょっと戸惑っていたけど、なんとかスイングを始動。少し振り始めは遅かったものの……。
カキーン!!
絶好の1球を見逃す筈もなく、余裕もなく、雷轟はど真ん中に投げられた球をそのまま場外へと飛ばした。
『な、なんと雷轟選手による同点ソロホームラン!起死回生の一撃です!!』
『鋼選手も疲れが見えていたのでしょうか?ここまでパーフェクトに抑えていただけに、今の失投はかなり手痛いです』
ま、まぁ申し訳ないけど、負けている以上は余程の拘りがない限りは打つよねって話だよ。むしろど真ん中のストレートを打てない番堂さんが特殊だと思うよ?
(とりあえず同点には追い付いたから、これで一先ず安心だね)
雷轟のホームランの勢いに乗ろうと奮起した埼玉選抜だったけど、鋼さんの立ち直りが早く、同点止まりとなった……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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