9回表。現状1点負けている私達はお通夜ムードを迎えている。ちなみに監督である大宮さん、マネージャーである坂柳さんは基本的に私達に作戦を委ねるらしい。選手達の対応力を上げる為だとか。
(私達には二宮や十文字さんみたいな指揮役はいないんだよね。だから個々の能力でそれを補う形になるんだけど……)
それにも限界がある。選手交代の指示以外でも監督の力がほしいよ……。
なんてネガティブな思考はさておいて、この回は9番の鈴木さんからだけど……。
「代打を出すよ」
鈴木さんの代打で出たのは咲桜の松井さん。能力的にはかなり期待値の高い打者だ。
「頼むぞ松井」
「わかってるって!このまま我が埼玉選抜が負けとかありえないからナ」
そういえば友沢と松井さんってメインポジが一緒なのに、余り衝突しないよね。まぁ友沢はセカンドも、松井さんは外野もやってるし、そういうのはないのかも?それとも咲桜がそういう風に育成しているとか……?
カンッ!
『代打で出た松井選手、初球からいった!打球はセンター前に落ちてヒット!埼玉選抜、同点のランナーが出ました!!』
松井さんがヒットを打った……。もう9回だし、前のイニングで雷轟に対しての失投とかも考えると、鋼さんにも疲れが見えてきているのかも知れないね。私達は普段7イニングしか野球しない訳だし……。
「先程打たれた1球……構えたコースに球が来ませんでしたが、疲れましたか?」
「う、ううん。ま、まだ……まだいけるよ?」
「前のイニングで雷轟さんにホームランを打たれた球も真ん中に行った挙げ句、変化しない棒球だった訳ですが……」
「大丈夫……大丈夫だから、最後まで投げさせてほしいの。お願い、瑞希ちゃん……!」
「…………」
(今の香菜さんはリトル時代の朱里さんと同じですね。何を言っても曲げないでしょうし、かといって無理矢理降板させても逆効果……。こうなってくると、香菜さんが壊れないように管理するしかありません)
「……わかりました。ですが無理のないピッチングでお願いします。今の鋼さんは破滅の1歩手前に来ていますので」
「うん……。ありがとう瑞希ちゃん。私、頑張るね……!」
コンッ。
打順は1番に戻って、中村さんが手堅く送りバント。ワンアウト二塁となった。そして……。
カンッ!
2番の朝海さんが強烈なライナーを放つ。その打球は……。
バシッ!
『アウト!』
ショート正面だった。
「えっ?ちょっ……!」
若干飛び出してしまっている二塁ランナーの松井さんが慌てて帰塁する。ショートの陽奈さんが素早く松井さんにタッチしようとして……?
『セーフ!』
「あ、危な……」
間一髪セーフ。本当に危なかったよ……。何にせよこれでツーアウト二塁。打席に入るのは3番の番堂さんだけど……?
「番堂さん」
「は、はい!」
「この打席で特訓の成果が問われるよ?」
「ま、まだ私含めた全員が未完成なんですけど……」
「これまでの打席で番堂さんはあえなく凡退していった訳じゃないと思うよ?」
「……はい!行ってきます!!」
大宮さんとなにやら話していたけど、果たしてどうなるか……。番堂さん次第で埼玉選抜が勝利するかどうかが決まってくる。頼んだよ!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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