『さぁ!ツーアウト三塁で打席に入りますは、群馬選抜の4番打者!当てた球はスタンドへ!?アメリカ帰りの日本人、向こうでもバンバンホームランを打っていた期待のスラッガー!上杉真深選手!!』
『先程打席に立っていたウィラード選手と、今大会1番の注目選手である風薙選手と共に、アメリカから日本に、群馬に留学してきた経歴がありますね。3人はアメリカでも結果を残し、かなり注目されていた選手です。そして結果を残しているのは今大会でも同じ……。この試合の勝敗に大きく関わる打席になりそうですね』
「流石真深ね。注目度が高い……」
「彼方さんが投で注目を浴びるなら、真深ちゃんは打で注目を浴びてるね……。でもそれはユイちゃんだって同じだよ」
「ありがとう恵梨香。でも私は真深にはまだまだ勝てないわ。選手として……」
「き、来たね……」
「上杉さんの打席が……。羽矢さんの球がどこまで通用するのかな……?瑞希はどう思う?」
「……少なくともまだ心配する場面ではありません。この打席は一ノ瀬さんに軍配が上がるでしょう」
「ど、どうしてわかるの!?」
「一ノ瀬さんの投げる変化球は他の投手と違って、かなり不規則です。それに比べて上杉さん……先程のウィラードさんもそうでしたが、規則的な変化球しか見ててこなかった分、一ノ瀬さんの変化球がかなり打ちにくい筈です。そしてウィラードさんに投げた変化球……。それに加えて、上杉さんの苦手とする変化球を一ノ瀬さんは持っています」
「あの上杉さんにも苦手な球があるんだなぁ……」
「あくまでも他の球種と比べて……ですが。そして一ノ瀬さんの不規則に曲がる変化球と合わせれば、攻略にも時間が掛かります」
群馬選抜の4番打者、上杉真深……。風薙さんやウィラードさんと同じチームでアメリカで高校記録を残したスラッガーだ。
ズバンッ!
『ストライク!』
(ユイと恵梨香ちゃんが言ってた通りね。マシンや他の投手の投げる変化球とは違う……。不気味な曲がり方をしているわ)
(ふん。アメリカ最強だかなんだか知らないけど、打てるものなら打ってみなよ……!)
どうやら一ノ瀬さんは真っ向から上杉さんに向かっているようだ。逃げ腰になるよりは全然好感が持てるよね。
(そう考えると私がリトルリーグの世界大会で、上杉さんを3打席抑える事が出来たのは本当に幸運だったね……)
まぁあの時はまだ中学1年生で色々未熟な部分もあった時期だったし、捕手は二宮だったから、抑える事が出来たようなものだ。
(次はこれを……!)
(投げてきたのは……カーブね!)
カキーン!!
2球目。上杉さんはカーブに対して完璧にタイミングを合わせた。一ノ瀬さんの不規則に曲がる変化球は一巡で打つのはかなり難しい……。ウィラードさんですら打ちあぐねていたのに、それを容易く打つなんて……。
(なんとか当てる事が出来たわね……)
(カーブを完璧に運ばれた……。でもこれで追い込みました。あとはデータ通りに……!)
(これで潰す……!)
ツーナッシング。投げるとしたら、一ノ瀬さんのウイニングショット。それがカーブなのか、シュートなのか、それとも……。
(えっ……?シンカー!?)
(データに載ってたよ。君、シンカーに対する打率が低いんだってね……?)
ガッ……!
上杉さんが打ち上げた。つまりこの打席は……。
バシッ!
「私の投げるダウナーなシンカーで苦しんじゃってよ……」
『アウト!』
ピッチャーフライ……。一ノ瀬さんの勝ちだ。
『な、なんと一ノ瀬選手、アメリカ最強のスラッガーを打ち取ったぁ!!』
『追い込むまで投げていたカーブと合わせて、中々苦戦しそうな変化球ですね。一ノ瀬選手独自の変化が相手打者を翻弄させました。そしてそれは上杉選手も例外ではなかった……』
今の一ノ瀬さんは日本どころか、世界にも通用し得る可能性がある投手って事か……。ああいう風にはなれないけど、私も強打者に向かっていく姿勢は見習いたいものだね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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