4回裏。ノーアウト一塁・二塁のチャンス。ここで点が取れないと、いよいよ厳しくなってくる……。頼んだよ雷轟!
『さぁ風薙選手、全国大会から数えて初めてのピンチではないでしょうか!?』
(ピンチ……?ピンチ……ね)
確かにこれまでの風薙さんは二塁にランナーを出した事はなかった。けど風薙さんにとってこれは本当にピンチなんだろうか?まぁ私達にとってチャンスなのには変わりないけど……。
(ストレートには着いて行っている……。あとはドロップをどうするかだね)
(絶対に……絶対に打たなきゃ!)
風薙さんが振りかぶって第1球目を投げる。
(ストレート?それとも曲がる球……?)
「ここだ……!空蟬っ!!」
カキーン!!
『ファール!』
(よし、なんとか打てる……!)
「…………」
カウントワンストライクからの2球目。
(さっきと同じ……!?)
ズバンッ!
『ストライク!』
間髪入れずにドロップボール……。あれだけ速いと、寸前までの見極めが不可能だから、ヤマを外すと、あのように空振りしてしまう……。
(投げ方や球速じゃ全く区別が付かないよ……。一体どうしたら……?)
風薙さんが投げるストレートとドロップは球速も、フォームも、リリースポイントも全て一緒……。変化し始めも遅いし、見極めも駄目となると、いよいよ決め打ちしかない訳だけど……?
「お姉ちゃん!」
雷轟が風薙さんに呼び掛けた……?一体何をするつもり?
「1球目でストレートを打たれたからって、変化球に頼り始めるの!?そんなに自慢の変化球なら、それだけで勝負してみせてよ!決め球を打ち砕かれるのが怖くないならね!!」
「…………」
えっ?ち、挑発?なんで急にそんな結論になったの?そもそも風薙さんがそんな挑発に乗る保障なんてないよ?もしかしてそれでドロップを誘ってるつもりなの?
「……何か勘違いしてるみたいだね。でもそこまで望んでいるなら……投げてあげるよ。安い挑発は自らの死を早めるだけだと、教えてあげる」
風薙さんが雷轟の挑発に乗るのかどうか……運命の3球目……!
(速い……。本当にここから曲がるの?どう見てもストレートだよね?……いや、あれだけ言っておいて今更ストレートには切り替えない。だって貴女は私のお姉ちゃんなんだから!)
「空蟬っ!!」
カキーン!!
「………!」
『打ったぁ!!』
雷轟は本当にドロップを決め打ちした。まさかあんな挑発で……?
『打球はレフト方向に大きく伸びる!レフトの上杉選手が懸命にバック!!』
「くっ……!」
『上杉選手が飛び付いて捕球を試みるも、ボールはフェンスに激突!長打コースだー!』
「やった……!」
『そしてセカンドランナーが三塁を蹴ってホームへ!!』
「バックホーム!!」
上杉さんが素早く対応し、強烈な送球がホームへ。最早中継いらないね。
『矢のような送球がホームへ!』
「先制点はもらった……!」
二塁ランナーの友沢がホームへスライディング。上杉さんからの送球を受けた水鳥さんのグラブと、友沢のスライディングした足がほぼ同時に……。判定は!?
『……セーフ!』
セーフ?という事は……。
『セカンドランナーホームイン!先制点をもぎ取ったのは埼玉選抜!なんと風薙選手、全国大会から通して初めて失点を許しました!!』
「このまま埼玉選抜を優勝に導くよっ!」
雷轟によるタイムリーツーベースで1点先制。しかもまだノーアウト二塁・三塁のチャンス。追加点がほしい……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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