「えっ?今のって何なの!?打者は確かに真芯で捉えてた……よね?」
「多分以前私に1球だけ投げてきた……バットをすり抜ける球じゃないかな……」
「和奈さんだけでなく、朱里さんにも投げましたし、私も2球程受けました」
「ちょちょちょ!ちょっと待って!?和奈の言ってたバットをすり抜けるってナニ!?どういう事!?」
「……?そのままの意味ですよ。打ったと思っていたらバットを貫通していました」
「可笑しくない!?黛さんの時もおんなじ事言ったけどさ、最早これは超次元野球だよ!イナズマナインだよ!!」
「サッカーではなく野球なので、イナズマナインですか……。いずみさんも中々に上手い事を言いますね」
「み、瑞希ちゃん冷静だね……」
「ええ……?アタシが可笑しいのかな?」
「いちいち大袈裟に反応していてはキリがないですよ。それに5年前のエクスリーグでは魔球が流行っていたくらいです」
「ま、魔球って……?」
「ボールに炎が宿ったり、大地を震わせたり、水や風を纏わせたり、光や闇を帯びたり、それ等に対抗する為に編み出された魔打法が……」
「魔球ってそういう事!?比喩とかじゃなくて、魔球(物理)なの!?」
「取得したのは主に少年少女……12~14歳くらいのスポーツ選手だそうです。それこそ野球だけでなく、サッカー、アメリカンフットボール等々で……。それに比べれば、風薙さんの投げている球はあくまでも普通の球です。攻略方法もきっとありますよ」
「い、一応聞くけど、さっき言ってた5年前の魔球(物理)の攻略法は……?」
「先程言った魔打法しかありませんね。まぁ今現在ではその使い手がいませんので、その心配は必要ないでしょう」
「……今更こんな事を聞くのもなんだけどさ、瑞希はなんでその情報を知ってるの?」
「5年前の当事者の1人だった静華さんに事のあらましは聞きました。そこから過去の情報を調べて……」
「そ、そういえば静華ちゃんは中学2年の終わり頃にシニアに入ってきたね……」
「ええ……。前に静華が忍者だって話を聞いた時は話し半分でスルーしてたけど、今の話を聞くと強ち冗談には思えないなぁ……」
4回裏の攻撃は風薙さんのボールがすり抜けるお化けみたいな球によって三者連続三振になったの訳だけど……。
「何なんですか!?あのお化けボール!真芯でとらえたと思ったら、バットを貫通していきましたよ!?」
「私は投げられたコースがど真ん中だったから、てっきりいつものだと思ってたけど、剛田がそう言うって事は本当にすり抜けてるのね……」
「流石に人間の投げる球だし、何かしらの攻略法はあると思うんだがなぁ……」
風薙さんのバットを貫通する面妖なストレートを目の当たりにしたゴウさん、番堂さん、主将の3人は苦悶の表情を浮かべている。
「……多分1度打席に立ってみないと、わからないかも知れませんね」
私は1度打席で見たけど、それは去年の年末……。あれからかなりの月日が経過してるし、参考にするのは難しいと思う。
「どんな球でも打たなきゃ……!お姉ちゃんを元のお姉ちゃんに戻さないと……!」
雷轟は雷轟で大変そうだ。なんとか力になれないものか……。
試合は0対1のまま、イニングは6回表。
ズバンッ!
『ボール!フォアボール!!』
ツーアウトまで抑えたものの、その後四球を与えてしまう。しかも次の打者は……。
「いつまでもリードを許したままにはしておけないわ……!」
4番打者の上杉さん。ここを乗り越えれば、大分楽になると思うんだけど……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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